162.機械馬車
四人はあわただしく荷物を纏めて出発しなければいけなかった。指示書には期日が書かれていて、神殿までには三日後、最終目的地には六日後とあった。そんなに長いのは神殿の往来に四日もかかるからだ。
とりあえずチィアム山の麓までいくため、機械馬車の発着場に向かった。そこには同じように向かう魔導士研修生たちであふれていた。今回のミッションは各班とも別々の課題が与えられていたが、アサミとタクヤが属しているファビュー・キルヒス班は最も過酷なミッションの部類だったとわかったのは終了後のことだった。
この世界の機械馬車はバスみたいなものであったが、名前の通り機械馬が牽引するものだった。要塞馬車の小型版みたいなものであった。それにしても破局戦争以前はどんな社会形態だったんだろうかと、タクヤは不思議に思っていた。どうして客車の中に推進装置が内蔵されなかったんだろうかと?
一行が機械馬車に乗り込むと、個室のように別けられていて四人は小さな部屋に入った。そこは寝台が備え付けられていた。
「ファビュー、チィアム山の麓までは明日の朝に付くそうだけど、そこからどうするの?」
ルンファはファビューに登ろうとするような事をしながら聞いていた。しかし二人の身長差は倍近くあったので届きそうもなかった。
「ただ、歩くだけさ。実は俺も神殿に免罪符を取りに行ってと依頼されて行った事があるんだが・・・途中で遭難しかかって、救助されたことがあるんだ。だから本当は・・・行きたくなかった」
「どうして遭難したんですか?」
「道に迷ってしまって断崖絶壁に行ってしまって帰れなくなってしまったんだ。あの時は神殿の神官に無茶苦茶怒られてしまった。それで二度と行きたくなかったんだが。
そうなる理由だが、麓から神殿まで断崖絶壁が続くんだが、迷路のようになっていてね。大抵は道先案内人を頼まないといけないぐらいなんだ。でも、指示書にはギルドの地図だけで到達しろとある。おそらくそれも試験のひとつなんだろうな」
一行は機械馬車が出発すると、食事を終えた後すぐさま就寝した。明日は登山しないといけないのが確実だからだ。外からは機械馬の蹄の軽い金属音だけが響いていた。




