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155.クマ男フィルビー・キルヒスの話

 カイムの剣が持つ防御機能に跳ね返されたクマのような男は、またタクヤの前に戻ってきた。その男の顔は恐ろしい形相であったが、声は似合わないほど平凡だった。


 「俺の名をいっていなかったな。俺はフィルビー・キルヒスだ。諸国を行商していたんだが、最近物騒なので魔導士の登録もしようと思ったんだ」


 「物騒って・・・そんな風になってきているのか?」


 タクヤがそんな質問をしたのは、要塞馬車で読んだ書物によれば、この世界では破局戦争以後も何度か危機的な事態は起きているが、そのたびに魔導士ギルドによって事態の収拾がなされ、最後に起きたのは八十年前のこととあった。


 「まあ、山賊やろくでもない諸侯はどこにでもいるさ。でも、そんな輩は目立った活動をすれば、魔導士ギルドにやられるから、細々とやっているもんだよ。でも最近は正体不明の連中による破壊活動が行われているんだ」


 「それってどんな破壊活動なんだ」


 タクヤはある名称を思い出していた。グロヴァル・コスモリアンだ。ホームレスになった原因はそいつのテロで派遣先の経営母体の方が経営破綻したせいだった。だから、そのようなことをするのが許せなかった。


 「最初のうちは龍狼獣が殺害されるぐらいだったんだが、近ごろは忌まわしい破綻戦争以前の機械を使った事件が続発しているんだ。橋が突如消えるのから村がまるごと消滅したりするんだ」


 「消滅?」


 「そう消滅! しかも前触れもなくさ! だから、何が起きたのか誰も知らないのさ。噂では破綻戦争以前の消滅爆雷が使われたというのだが、そんなはずはないんだ。なにせ全て使われ、作り方もわからないからだ。だがら、もしかすると・・・」


 「もしかすると、どういうことなんだ」


 「この世界で再び破綻戦争のような事をしようとしている奴がいるかもしれないってことさ」


 その言葉にタクヤはいやな予感がしていた。もしかするとハバスでダッカーに憑依蛾を取りつかせた奴と関係があるのかも知れないと。



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