152.楼閣から
アサミとルンファが売り子(お金はもらえないけど)をした屋台はなぜか大盛況だった。今回の研修会に参加した女性魔導士の中でも可愛いという評判がたったためか、一目見ようと大勢の男性研修生が並んでいたからだ。
そのあおりを受けたのはタクヤだった。屋台の雑用を一手にしていたからだ。商品を包む紙を準備したり行列の整理をしたりして・・・
その様子を屋台のおばさんことカミーナ・カンヴァーラ筆頭統領は、広場の中央にある楼閣から覗いていた、魔導士ギルドの筆頭統領はどこかの諸邦の国家元首かそれに近い職を歴任すればなれる名誉職みたいなもので、非常事態かそれに準じる状況でも起きなければ、決裁書に署名捺印する以外には仕事がない地位だった。
彼女自身はわずか三十五歳で優秀な政治家と評されフォムラスの国家元首に就任したが、すぐ辞職して自ら望んで魔導士ギルドの筆頭統領に就任した。以来、彼女の仕事は愛する神僕のウグスティン・アルミレージェのために秘密工作の手引きをすることだった。
「どうですが、あのネコ耳娘とサル耳娘は?」彼女の秘書官であるタラシーは怪訝な顔をしていた。あの二人に関する今回の彼女の行動が腑に落ちなかったからだ。
「間違わないでよ。問題なのはあの男の方だ!」
「ごく、普通のかわいらしい娘にしかみえませんよ。あの娘がシフォンヌから伝説の胴衣を贈られたなんて思えませんよ。それにあの男も。なんでわざわざ筆頭統領が出座してこられるのですか?」
「まあ、それは・・・時が経てばわかることだ。あなただって聞いているでしょ、あのアサミの前世の中で恐ろしいことをしたことを」
「はい、監察官はまだしつこく言っているようですよ。彼女をこのまま魔導士にするだなんて恐ろしいと」
「まだ言っているんだ。でも、だからこそ我らの手の内に入れておいてもいいといえるでしょ。もし、闇の魔導士に彼女の前世がばれたら、それこそこの世界は闇に包まれてしまうわよ」




