表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/313

151.おばさんの正体

 その屋台のおばさんはどっちかというと仕事そっちのけでアサミと話をしているようだった。あんまり魅力的でない菓子パンを屋台に積んでいるためかもしれなかった。なんかの肉を焼いていたり良い香りがするスープなどの屋台には長い列ができていたが、こちらの屋台にはほとんど人が集まっていなかった。


 「あなたたち、夢はなんかあるの?」

 屋台のおばさんは三人に聞いた。タクヤはそのおばさんこそ何か夢があるのかなとおもいながら答えた。


 「そこのアサミと一緒に平和に暮らせるようになることかな。そのためにはこの世界で頑張りたい」

 その言葉にアサミは胸きゅんのようだったが、ルンファはのろけやがってといった表情をしていた。アサミも同様なことをいったが、ルンファだけは野心たっぷりにいった。


 「わたしの夢は、この広場にある有名魔導士の像の列に入ること。まだまだスペースがあるでしょ」


 そういえば、広場にはいたるところに像があることにアサミは気づいた。しかも近くを見ると見たことのあるような顔をした像があったので、銘板をみると「シフォンヌ」とあった。


 「そうかい、そこのネコ耳魔導士の像のように有名になることかい。まあ夢を語るのは誰にでもできることだけど、そうなるように頑張りなさい」


 おばさんは、そういうと誰かに呼び出されたような表情をして、こういった。


 「ちょっとすまないね。ギルドの屋台の担当者がわたしに用事があるってさ。よかったらその屋台の菓子パンを配ってもいいから。ちょっと長くなるかもしれないけど、そのうち戻ってくるから」

 そういって屋台をアサミらに託してそのおばさんは広場の中央に行ってしまった。


 「それにしても、無料だからといっても、あんまり熱心でないおばさんだったわね。でも人が好さそうな方だったけど」

 アサミはそのおばさんの後姿を見送った。そのあとアサミは彼女が残していったエプロンを身に着けるとタクヤにこういった。


 「タクヤ、おばさんの代わりに屋台をひっぱってみましょう。そうすればおばさんが家に持って帰るのは楽になるから」

 三人は屋台を人があつまっているところに移動し始めた。


 一方のおばさんであるが、広場の中央にあるギルドの建物の中に入ってしまった。その表情はさっきまでの緩んだものではなく、どこか厳しい顔つきをしていた。


 「筆頭統領! なにも、こんな形であの二人に会いに行かなくてもいいではないですか。二人を呼び出せばすむことですから」


 「秘書官。そんなことをしたら特別扱いしていると他の研修生に思われるだろ。それに二人の自然な姿を見たかったんだ、わたしは」


 屋台のおばさんの正体は筆頭統領のカミーナ・カンヴァーラだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ