149.退屈な話の後は
この世界では魔導士ギルドが諸侯よりも権力を持っていた。そういうと、語弊があるが地球における国連みたいな存在だった。そうなったのも、破綻戦争と呼ばれる終末戦争後の秩序回復に数多くの魔導士とよばれる一種の超能力者が活躍したからだ。だから、各諸邦よりも上位の存在とされている。
魔導士の方が権力を持っているのは、かつての国家群が国家主権の行き過ぎた主張の果てに世界を破滅させたので、各諸邦が軍事力の保持と行使を禁止されて、そのかわり秩序の維持の役割を魔導士ギルドが担っているためだ。
だから、個々の魔導士には権力はなくても、所属するギルドは絶対的な存在であった。もっとも、権力が強い分、その行使には様々な制約が課せられていた。
そんな話を研修会の冒頭で聞いても、大半の魔導士見習いは退屈そうに聞いていた。そんな事が出来るのは高い地位についている官僚魔導士であり、魔導士に登録したばかりの者には関係ない話だった。それに官僚魔導士になるには幼いころからギルド直属の幹部学校に通っていなければ無理な話だった。
だから。大半の研修生はとりあえず座学が無事に終われるようにと考えていた。まあ、最後の試験に合格できる程度には覚えておかないといかなかったが。
アサミはそんな話を聞くのは興味もないけど必修なので受講した大学の講義以来だった。一度は心身ともに消滅していたので感慨深いものがあった。それにしても魔導士になってわたし何をすることになるのだろうかと考えていた。同じころ、アサミの葉皮紙の判定をめぐり、ちょっとした騒ぎになっていたが、その理由を聞いたのは大分後の事だった。
午前中の研修会の座学が終わり、食事の時間になった。アサミもタクヤも一緒に歩いていたけど、いつの間にかルンファがくっついていた。図々しいと思ったアサミは少し不機嫌そうになってしまった。
「ルンファさん。あなた利益なさそうから教えてあげないといっていたのに、なんで私たちにつきまとっているのよ!」
「いいじゃん! 研修中ぐらいくっついていったって。あんたも二人きりでいるよりもいいじゃないのよ」
「なによそれ? まあ、研修中ぐらいは付き合ってもらってもいいよ」
そういうと、ルンファはなぜかアサミにベタベタと触り始めた。これってサルがネコの蚤取りをしているようなものなのよ! そんな風にアサミは感じてしまった。




