146.ギルド本部
電車から降ろされた乗客は石橋の歩いて渡ることになった。そのとき、タクヤは足腰の悪い老人を背負っていた。やはり見捨てるわけにはいかなかったからだ。この石橋は中央に路面電車の軌道があってその両側に車道と歩道が設けられていたが、結構な距離を歩く羽目になった。
このとき、タクヤは自分の身体が若返っていることを自覚した。この世界に来るまで病気がちで老化現象ともいえる体力の衰弱が見られたのに、いまでは若い時よりも調子がいいように感じていた。それに、孤独な人生ではなくなったというのも変化した点だった。
美しい風景が望める石橋を渡り切ると、湖の中央にある魔導士ギルド本部についた、ここは大きな岩山の上に巨大な中世ヨーロッパ風の建物が林立しており、着いた先は中央の広場にある駅舎だった。ここに集まってきた客の大半がきょうから開催される新人魔導士研修会の参加者だった。
この広場は公園のようにきれいな芝で覆われていて、周囲の建物も美しいたたずまいだった。この周囲にある建物がギルドの中枢を担うものであるとは思ってもいなかった。
参加者は案内されるまま、いくつかある建物のうち巨大なドームをいただいたところに入っていった。そこはまるで劇場のようなところであった。その入り口では筒のようなものを渡されていた。
「この筒の中には一種の能力判定用の葉皮紙が入っています。それはすぐ返してください。すぐに判定いたしますから」
いったい何のことかわからなかったが、アサミもタクヤも言われるままに受け取ってすぐに返却した。




