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144.石橋を渡る時に

 一同を乗せた電車、路線の名称は市内横断三号線と面白味のないものであったが、美しい街並みを行っていたが、中では大勢の新人魔導士が乗車していた。


 魔導士、といっても猿から進化した人間型のほか、毛むくじゃらの二足歩行をするケモノ型、なんかの甲冑のようなものを纏った昆虫型もいた。この世界では異世界から召喚されてきたものの子孫や、破局戦争以前のいびつな生命操作技術で誕生した部族など、多種多様の高等生命体が社会を作っていた。


 遠い昔に国家間の戦争は事実上なくなってはいたが、それでもなくならなかったのが個人間の争いだった。だから大勢の人々が集まった場合、それが初対面であっても競争心から他人よりも優位性を主張しようとすると、言い争いになることは珍しくなかった。


 そんな重い空気を切り裂きながら歩いてきた、中年風の太鼓腹の非常に身体が重そうな男がいた。こんな体形でも魔導士なのか? とおもったら違っていて、彼は「車掌」の腕章をつけていた。でも車掌ならさっきバッチを見せたのでいたはずなのに。


 「わしは、この路線の運行管理者のヴァリガスンだ。今日は新人魔導士の研修会が開催される日だから見回っているんじゃよ。時々、喧嘩をし始める輩がいるからな。あんたら言い争うなら、研修会でしてくれないか? 魔導士じゃない乗客もいるからな」


 そう言いながらチェックして回っていた。魔導士ならみんなバッチをしているから一目瞭然だった。ヴァリガスンがアサミらの前にやってきた。その時電車は長い石橋を渡っていた。その石橋は湖の中央部に浮かぶ岩山のようなところを結んでいて、その岩山の上には数多くの建物が林立していた。そこが魔導士ギルド本部だった。


 「お嬢さんたちケモノ系の娘さんか。まさか魔導士になるために変化の術を受けたわけではないよな」


 「それはないですよ。わたしの部族は昔からこのスタイルですよ。まあ他の部族と交わることができなかったのですけど」


 ルンファはそういうと服をまくりオヘソのあたりを見せた。そこは猿のような毛で覆われていた。彼女の部族は鎖骨から下は剛毛で覆われている種族だったのだ。


 「それでは、そこの君! あんたも生まれつきなのか?」


 アサミはそう質問されたが答えに窮していた。この世界に召喚された時がわたしが再び生まれたのだと言ってもいいのかしらと。

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