142.ジェムシームへ
要塞馬車が森林地帯を抜けたとき、ジェムシームの町が見えてきた。ここが魔導士ギルド本部が置かれている町だ。町の規模はこの世界では中規模程度で、人口も五十万人前後だった。また森林地帯の真っただ中にある湖の半島や島々に町が広がっていて、地球でいえばリゾートのような雰囲気があるしゃれた街並みだった。
一行を乗せてきた要塞馬車は、古い城壁のそばに停止した。そこには同じような要塞馬車が数多く停まっていたいた。またそばには倉庫のような建物も数多くあった。
「君たちお疲れさん。このたびは終わりだけど、君たちの旅は続くよずっと」
ヴァリラディスにそういわれ送り出されたけど、とりあえずメモにあるとおり行けとしか教えてもらえなかった。
城壁のそばにはレールが引かれていて、駅に行くようにとあった。この世界に来て科学技術水準が高いのか低いのかがわからなかったけど、ようやく公共交通機関があることにほっとしてのもつかの間、やってきたのは木造の路面電車だった。
アサミとタクヤはメモにあるように魔導士のバッチを車掌に見せると、ほかの乗客とは違い運賃を徴収されなかった。そう思っていると次から次へと同じようにバッチを見せて乗車してくる魔導士たちが続いた。
電車が出発すると、ジェムシームの美しい街並みの中を進んでいった。この世界に共通することであるが、地球の自動車のようなものは殆ど存在せず、洒落た木造の馬車のような乗り物に人々が乗り込んでいる様子が見受けられた。
アサミがそんな車窓の風景を見ていると声をかけられた。それで顔を向けると、頭に獣のような耳を生やした幼さが残る女が立っていた。
「あんたも魔導士の研修にきたんかのよ! 見たところあんたはネコの魔導士のようだけど、あんたには負けないわよ!」
その女にも尻尾があったが、それはまるで猿のような細長いものだった。




