137.魔道士に登録されたふたり
ダガーは意識を取り戻さないままだったので、魔道士ギルドが運営する病院に直行した。また、彼が操られる前にアサミとタクヤの魔道士登録するための書類が完成していたので、問題なく二人は魔道士に登録された、はずだったが・・・騒ぎが収まってからやってきたハバス市魔道士ギルド支部長がやってきた。
「一体何が起きたというんですか? ここのホールの梁は少々の魔道力では壊れないはずなのに!」
「すまんな支部長。ここの新人魔道士のタクヤの力です。憑依蛾を逃がすまいとしたした結果です」
ヴァリラディスの言葉にタクヤは嫌な気持ちになったが、事実だから仕方なかった。それにしても、剣圧だけで太いホールの梁を壊すとは思ってもいなかった。この剣は魔法でも使えるというんだろうか?
「そこのタクヤとやら。憑依蛾を殺すにしては少しやりすぎだぞ。それにしても、剣を使いこなせるとは。おぬしは、この世界に召喚されてきたという事だけど、前の世界では何か武術でも使う職に就いていたのか?」
「いえ、ホームレスをしていました」
「あ、そうなんだ・・・」
そこからさきはタクヤと支部長との会話が進まなくなってしまったが、大きな謎がまだ残っていた。ダガーを操っていた憑依蛾は誰が支部に持ち込んだかである。支部の内部をスパイしていたのは確かであるが・・・
ホールの現場から離れ、近くの機密の談話室に入ったヴァリラディスと支部長は今回の事件の処理について話し合った。とりあえずホールの損害についてはタクヤには請求しない事。ダガーは回復するまで幽閉する事などを決めた。
「支部長、どうして憑依蛾なんて古典的なスパイの潜入を許したのですか? 徹底的に調査すべきです!」
「判っているよ、ヴァリさん。蛾の残留物を調べてはみるけど何もわからないだろうな。この中枢部には結界が張り巡らせているのに・・・もしかすると内部に協力者がいたのかもしれない。ダガーは疑り深いが、私利私欲に無頓着な男だから、何者かに買収されるはずはないし。
それにしても、あの二人は一体何者なんだ? ダガーのヤツが作成した書類では、極普通の魔道士見習いのはずだけど・・・」
「それは、わしにも判らないですが、ただの他の世界からの召喚された者ではないかもしれない。上からの命令で今までにも召喚された者を迎いに行った事があったが、今回のように魔道士として必要な装備品を手にする事が出来たり、神僕から”契約の指輪”を下賜されたりしていますから。おっと、今のことは当面、他言無用ですぞ」
「わかった。ヴァリさんはまた少し二人の旅のお付き合いをしないといけないんだな、それはご苦労さん」




