135.アサミの剣
アサミが持っていた剣は細身で刃があまりなかった。これでは料理で肉も切れそうにないと変な事を考えていたが、とりあえずダガーの動きを封じないといけないと思った。
「キュリットロスさん、どこをやれば良いのかな? こんな厭味な人でも殺したくないし!」
「そうだね、とりあえず戦闘不能にしないといけないわ。とりあえず相手の剣の根元を狙って!」
そんなこと出来ないと思ったけど、言われたとおりアサミは相手の懐に入って思い切り振り払うかのように剣を叩いた。すると、ダガーの持っていた剣はガラスでも割れるかのように粉々になってしまった。
「なんだと、お前の剣は魔道力が篭っているのかよ! 硬いはずのギルド制式剣をこんなふうにするとはな」
ダガーは持っていた壊れた剣を投げ捨てると、腰から鞭を取り出した。どうやら、ダガーはこっちの方が使いやすそうだった。アサミはこれでは近づくのも難しいし、やられると思ったが、鞭がうねりを上げて飛び掛ってきたので、思わずジャンプした。すると思ってもいない跳躍力を見せ、ホールの天井の梁に飛び上がってしまった。
「やっぱ、わしが思っていたようにお前の魔道力は半端じゃねえな。でもこれならどうだ!」
そういってダガーが腰から矢じりのようなものを投げてきた。それで仕方なく床に飛び降りたが、今度はまた鞭の攻撃を受ける・・・そんな応戦をしていたけど、タクヤとヴァリさんはどうしているのだと思ってふと見ると、二人は収納棚の中から何かを取り出してきた。
「アサミ! とにかくジャンプしろ!」タクヤの言葉に驚きつつもジャンプすると、ダガーは網に絡まっていた。中でダガーはもがいていた。二人は暴徒鎮圧用の投網を投げつけていたのだ。
「つまらんモノを使うとはなあ。こんな道具がある部屋なんかでやるからいけないんだよ、ダガーのやつめ!」
その声はダガーのものであったが、ダガー本人の意思ではないようだった。もしかして、それは憑依蛾のものなのか? 三人が見つめる前で、ダガーの顔色がどす黒くなってしまった。なにやら恐ろしい変化がおきていたようだ。




