132.見掛け倒しではないよな
タクヤが剣を持った途端、周囲の空気が変わったかのようにオーラのようなものを発したのだ。剣の構えもそれなりに様になっていた。しかも、錆が浮いてボロボロだった剣が美しい色彩を放っていた。
その光景を見たダガーは少しひいていた。さっきまで小バカにしていた男がしている事とは思えなかったからだ。しかし、なぜこんな事が出来るのか?
「そなた、なかなかできるようじゃないか。しかし見かけ倒しではないよな。まあ、軽めに見てやるぞ!」
そういってダガーはゆったりとした構えから激しく攻撃をしかけた。タクヤは何故かそれらの攻撃を上手にかわしていた。それから五分ほど一通りの型をやったが、つつがなくタクヤはこなしていった。しかし中々やめることはなかった。そのうえ、首筋に何かが光ってからさらに激しくなった。
それを見ていたヴァリラディスはダガーにそろそろ止めるようにと言った。しかし突如として様子がおかしくなった。なぜかダガーが暴れ始めたのだ!
「一体何をしたいんだよ、このおっさんは! ストレス発散が出来なかったのかよ」
「タクヤ君、その男はなにかに憑依されてしまったんだ。構わないから足払いしなさい!」
ヴァリラディスの言われるままにタクヤは思い切って剣の柄をダガーの足にぶつけ転倒させた。すると首筋が更に光を増した。
「どうしたもんじゃ、この男は憑依蛾に操られていたんだ!」
「なんじゃい、その憑依蛾って?」
「それはなあ、はぐれ魔道士の操るスパイみたいなものじゃ。油断したんだなあハバス支部の連中は、こんな初歩的なヤツの侵入を防ぐ防御をしわすれるなんて」
「ヴァリおじさん、どうすればいいんですか!」
「ちょっとまてい! うかつに触るとこっちも憑依されるからなあ。アサミさん、悪いがこちらで何とかするから、誰か呼んで来てくれ! たぶん憑依蛾を除去できる魔道士がいるはずだから!」
ヴァリラディスに促されアサミは兎にも角にも隣の部屋にいるはずの職員を呼びに行こうとした。しかしダガーが僅かな隙を突いて入り口を立ちはだかるように仁王立ちしていた。
「お嬢さん、どこに行くというんか。あんたの胴衣見せてくれないか?」
そう言うダガーの顔は操られているのは明らかであった。それは薄ら寒いものを感じるしかなかった。




