129.厭味な審査官
ハバス市の市政府庁舎は五階建であったが建物の幅の割には塀のように細長かった。地球の尺度で言えば全長八百メートル、幅は細いところで二十メートルだった。何故なんだろうかと思っていたら、ヴァリさんに城壁の代わりに昔作られたと言った。
市政府広場の周りには比較的高い建物が並んでいたが、市政府よりも高い建物は殆ど無かった。どうも、この町の建物は地球の都会に比べ、高くは無かった。また建物の様式は中世のドイツかフランスのようだった。
住民登録の申請そのものは証人がヴァリさんだったので直ぐに受理された。しかし、面倒臭い事が待っていた。アサミとタクヤの魔道力を確認するというのだ。
「ヴァリさん、俺たちの魔道力ってどうやって調べるのですか? まさか試合でもやるのですか?」
タクヤは不安そうにいったが、たしかにどうやって図るのだろうか? これが知識を問うものだったら試験だろうけど、やはり体力を測るのと同じように実技が必要なのだろうか?
ヴァリさんに連れられやってきたのは魔道士ギルド、ハバス市支部だった。このハバス市はギルドが統治しているので同じ建物の中にあった。審査官の事務所は二階にあった。そこで待っていたのが怖そうで意地悪そうな審査官だった。彼は顎にヤギのような髭をたくわえていた。
「わたしが、ハバス市魔道士審査官のダガー・フィルモだ。ヴァリさんの紹介で魔道士になるという事だけど・・・君たちは一体どこからきたんかね?」
ダガーは二人を食い入るように見ていたけど、それは目利きをしているかのような厳しい眼差しだった。それにしても、この人ってイジワルそうな顔つきだった。彼は一通り睨んだ後、書類に目を通してからこういい始めた。
「お二人さん、この書類では婚約者とあるけど変な取り合わせだね。そこの彼女はネコ耳娘でなにやら素晴らしい魔道力を感じるけど、そこの彼。ただの人じゃないのか? どこで知り合ったというのか?
まあ、魔道士というものは審査さえ通れば良いってもんじゃないの、解るだろう? それぐらい」
このダガーって人はタクヤの資質を疑問に思っている様子だった。しかも厭味をもっとたくさん言いたいようなかんじだった。




