127.ヴァリラディスの大人買い
タヌキみたいな骨董屋の主人は腰にぶら下げた帳面でなにやら調べていた。そしてカイムの剣が入っていた皮袋が置かれていたところとなにかと照合していた。
「えーと982年買い入れと書いているから・・・いまから15年前からそこにあるのか。買い入れ価は・・・シンファー金貨8枚か・・・でも、結構抜き出しているようだから・・・値段どうしようかな?」
「主人、まさか残っているのを全部買え! というのではないだろう。でも、その剣は手入れ悪すぎるぞ!」
ヴァリラディスはカイムの剣の周りにあった骨董品も確認しながら言っていた。後で語ったが、その骨董品店が魔道士相手の商売なのに、なんで剣が売れなかったのかが不思議だった。だから、何故なんだと思っていたのだ。もしかすると剣に意思が関わっていたのだろうかと。
「そうだなあ、全部買ってもらったほうが都合いいんだが。結構、長期間在庫になっているようだし。それにしてもなんで剣の周りだけで、売れなかったんだろうか?」
骨董屋の主人はそういうと、その周囲にあった箱の中身を出し始めた。そのあたりは商品を陳列していない在庫品置き場だったので、埃が物凄かった。
箱から出てきたのはどうやら随行騎士カイムが使っていた装備品一式のようだった。そのままタクヤが身につけたらそれなりの魔道士のように見えそうだった。他にも宝飾品を入れていたような箱も沢山あったようだけど・・・中身は無かった。
「で、主人。いくらなら売ってくれるのか?」
「そうだなあ、シンファー金貨2枚でどうだ? 魔道士になるのなら新品で全てを買ったらそれじゃあ済まないだろ」
「ちょっとまて! シルヴァルデス産の名刀作家が作った剣だったら、それぐらいするのもあるだろうけど、あんた剣の専門外だろ? なんで、そんな価格だというのだ?」
「うちはなあ、宝飾品や魔道書の専門なんだ。そのあたりにあったものは一通り金にしたけど、余りがそれなんだ。そのまま置いていても在庫になるだから・・・で、あんたなら幾ら出すというのだ?」
そんなやり取りを続けていたけど、結局、ヴァリラディスがカイム縁の品物を全部買うことになった。ただ重量が多いので持ち運び出来ないので、骨董屋の負担で要塞馬車に運送屋に運んでもらう事になった。




