124.ストリートにて
ハバス市の魔道士ギルド支部は陸船の傍にあった。そこに要塞馬車は到着したが、要塞馬車に搭載されていたものがドンドン降ろされていった。あの宿場町で搭載されていたロケットのエンジンみたいなものや、よくわからないモノを入れた箱も。
「本当に狼龍獣の牙や歯の価格が暴落していたから、すまないが君らに約束していたよりもお礼を安くしてくれ。まあ魔道士見習いになれば生きていけるぐらいの給金はもらえるから」
ヴァリさんはふたりに頭を下げた。後から思えば自分たちが来てから、この世界に変事が起きはじめたのだと言われる前触れだった。主に魔道士向けのマーケットに行ったら、狼龍獣のグッズが大量入荷と書かれていたほどだったから。
そんな状態だからせっかく二人に手伝って狼龍獣の死体から剥ぎ取ったものが大した金にならなかったとヴァリさんは嘆いていた。
気を取り直して一行は住民登録のためにハバス市政府庁舎がある中心部に向かったが、ストリートには様々な行商人が並んでいて、様々な魔道士の装備品のほか、変わった食材、骨董品も販売されていた。
そんな行商人のうちアサミは衣服を扱う行商人の前でシバシバ立ち止まっていた。それをヴァリさんが何度もたしなめていた。
「女の子だから服に興味があるのはわかるけど、早く手続きをしましょう。それに今は服を買っている間はありませんし、それにお金も足らないかもしれませんよ。とりあえず魔道士見習いは薄給ですから、余計なものは買われない方がいいですよ」
そういわれアサミは仕方なく従った。そのとき友人の美保子や妹の奈緒美の事を思い出した。そういえば私って服を滅多に買わないのになぜが服を見て回ったので二人が迷惑していた事を。どうも、見るのが楽しくてそうしたのかもしれなかった。そう思っていたとき頭の中でキュリットロスの声が聞こえてきた。




