123.巨大な陸船
「まあ、お二人さんに興味があるのかわからないけど、この世界は各諸邦が食料や燃料を自給自足できるようになっているから、あまり利害が対立することが起きないんだよ。すべては破綻戦争の反省だからだ」
そういうとヴァリラディスはさらに話を続けようとしたが、それよりも面白いものを見つけたので話題をかえてしまった。
「あそこに見えているのはハバス市の象徴巨大陸船の遺跡だ。大きいだろう」
それは平たい巨大な船で、どこかで見たことあると思ったら地球でいうところの原子力航空母艦のようだった。その陸船の周囲に地球の中世欧州諸国を思わせるような低層の建物がひしめいていた。
「なんでも、あの陸船は破綻戦争の際には移動式の飛行機械の要塞だったそうだ。でも、破綻戦争で生じた地殻変動で大陸の奥深くに流されたそうだよ。いまでは、搭載されていた永久炉が作り出す電気が町を潤わせているんだ」
陸船は少し傾斜した状態で中心部の丘の上にあったが、相当腐食がすすんでいるようだったが、今も核融合反応は続いているようだった。やはり破綻戦争以前は二十一世紀の地球よりもはるかに進んだ科学技術を持っていたのは間違いないようだった。
しかし、今ではファンタジーのような世界になってしまっていた。そのハバス市は魔道士ギルドが支配する町で、住民も魔道士相手の商売をしているのが少なくなかった。
「おふたりさん、今日は役所に行った後で装備を購入しよう。今週末は魔道士教習所に行ってもらうから準備しなくちゃ」
「魔道士教習所?」
タクヤは怪訝そうにいったが、今まで読んできた書物の中にこの世界の魔道士の事が書かれていたので何の事かはわかった。
この世界の魔道士には破綻戦争前の科学技術を使うものと、一種の超能力を使うもの、もしくはその双方を使うものがいるとのことだった。
アサミはすでにキュリットロスの胴衣を持っているのけど、タクヤには何もなかった。このままアサミと同行するためには適切なアイテムを見つけたいと思っていたところだった。




