115.通りすがりの、なんなの?
アサミはふと後ろを振り返った。そこには変わった服を着た男が立っていた、いま、プレイしているゲームの世界から抜け出してきたかと見間違いそうな男だった。
「あなた、どこかでお会いした事あるような?」
アサミはそう声掛けをした。夢の世界のせいか限定的にしか記憶が呼び出せずに、はっきりとした事が言い出せなかった。どこかで会ったはずよねこの人に。
「わたしは通りすがりの占い師ですよ。名前は・・・或彌阿具須です」
その男はそういったが、変な雰囲気を醸し出していた。周りを浄化するというか混乱させようとしているのかというか。
「俺も会った事があるようだけど・・・思い出せない。記憶力落ちたのかな?」
タクヤは頭をかいていた。目の前にいる男に心当たりがあるのだけどわからなかった。
「お二人さんとも、無理に思い出されなくていいですよ。ここは夢の世界ですから。そうそう或彌阿具須は数多くある分身のひとつですから。そうそう詮索してみても無意味ですから、そんなの重要なことではありませんから」
或彌阿具須を名乗るその男は二人の目の前に座ると、どこからもなく応接セットみたいなものが出現した。それは通りすがりに見かける易者の商売道具のようだった。その卓の上にはタロットカードのようなものが置かれていた。
もし、これが起きている時なら驚いたであろうが、二人とも夢のなかだと認識していたのか、たいしてビックリせずに勧められるがままに座ってしまった。
「あのアルミさん、私たちそんなにお金を持っていないので、占いしてもらえないのですが・・・」
アサミは変な事をいっていた。夢の中なのに、おかしなことを言い出してしまった。
「まあまあ、この占い・・・いや御神託とも啓示ともいえるのだから御代は要らないよ。これから私が言う事は神の言葉として聞いて欲しいんだよ」




