111.父の説教
記憶の中の父よりも歳を取っているのが不思議であったが、アサミの記憶どおりの事態がおきてしまった。
「アサミ、お前なんだその男? いつのまに彼氏をつくたんか、まだ高校一年だろ?」
「そうじゃないのよ、お父さんこれはねえ・・・」
「これはも、それはもない! お前デートしていたんだろ! 同級生ならまだ分かるけど、大学生じゃないか! まさかお前が誘ったんじゃないか!」
そういって父の広之進がアサミの腕を掴みあげてしまった。そして怒鳴りつけてしまった・
「わたしも、いつかはお前が結婚するという日が来るのは判っている! しかし、まだお前十五歳だろ! 結婚できる年齢じゃないのに・・・それよりも、どこの誰だこいつ!」
すると、タクヤが二人の間に割って入ってきて、神妙な顔つきをして話を切り出した。
「申し訳ございません。僕がお嬢さんを連れ出したのです。お家の方に子ネコをお届けしたのですが、ついお嬢さんにプリクラを撮ってもらえないですかと僕の方から頼み込んだのです」
そういうと、父の怒気がすこし和らいだとおもったけど、再び沸騰しはじめた。
「あのねえ、うちのアサミは未成年だぞ! そんな判断力が未熟な娘を連れ出したということは、犯罪行為なんだよ君! いくら本人が良いですって言ったとしても、そんなのは無効なんだぞ・・・」
その後、長い長いお説教というか刑事訴訟法講座というか、その両方が取り合わされたような難しい話が続いていた。記憶ではその後父に半ば強引に家に連れ戻され、タクヤとは二度と会えなかったはず、だった。しかし、その直後から違う展開をみせた。
「いろいろ言ったけど、それもこれも娘が心配な父だからだ。あまり気を悪くしないでくれ。なんだってアサミの事を頼まないといけないのは、こちらの方だからね。まあ、何か困った事があっても相談に乗ることは出来ないけど」




