102.ウグスティン・アルミレージェ再び
カミーナの手元にあった御神託は、魔道士本部があるジェムシームにある大聖堂の秘密の部屋で神官が受け取ったものであった。その方法については代々の神官によって極秘にされているが、結果については筆頭統領などごく一部の者にだけ伝えられることになっていた。その御神託の内容もまた一般にしらされることはなく、関係する者にだけ伝達されることとされていた。
カミーナであるが、美貌で政治家としても優秀で人望に篤いとされていたが、独身というのが欠点とされていた。ただ、彼女にも想っている人いや人を超えた存在がいた。
彼女が執務室で一人でいると、目の前の空間から突如ハンサムな男が出現した。普通の場合、このような事態が発生したら驚くところであるはずなのに、いつものねえといった感じでみつめていた。
「あなた、たまにはもうちょっと気が利いた場面で出てきてくれないかな? それに私は鋼の女といわれているといっても、まだ結婚していない乙女なのよ!」
カミーナの目の前にあらわれたのは神僕のウグスティン・アルミレージェだった。そうアサミとタクヤをこの世界につれてきた当事者の一人だ。
「すまないな。僕だってこの世界で起きる事を調整するのに忙しいんだ。君の許に来れるのもやっとの事なんだ」
「それは、ありがとう。でも、あの二人をこの世界に連れてくるのになんで、あんな地の果てで降ろすのよ! 手っ取り早くこの執務室に出現させればよかった似に」
そう、口やかましいようにいってはいてもウグスティンを見つめる瞳は愛情が篭ったものだった。




