世界の滅び
――君は、世界が終わっても君のままでいるのか?
昔々、世界は滅びの道へと突き進んだ。人があまりにも、世界を残酷に汚し、乱していったからである。そうして、世界がとうとう滅び始め、人々が泣き叫んだ。
その頃、天空で神々が世界の滅びを止めようと、慌しくしていた。神々はそうして、世界の滅びを一時、止めることができたのだ。だが、力を使い尽くした神々は皆、深い眠りについてしまった。
一人の神が、深い眠りに着く前に、人々にこう告げた。
「これから1000年後に、また世界は滅び始めるだろう。それを止めたければ、お前達が世界を労わり、きれいにするのだ。1000年後にまた、世界が滅び始めたとしても、もう我々神には止めることができんからな」
告げ終わると、その一人の神は寝むりに着いてしまった。
それからは、人々が世界を労わり、きれいにしていたおかげで滅びるようなことは何も無かった。だが人々は、年を重ねるごとに神のお告げを忘れ、900年後には、もう誰一人として世界を労わり、きれいにしようとはしなくなった。あと100年後には世界が滅び始めるというのに。
世界の滅びまであと5年――
人々は、あの一人の神のお告げを完全に忘れ、また世界を残酷に汚し、乱していた。
そんな人々の中には本当に、そのお告げを知り、覚えている者は居なくなってしまったのか。
「はいはい、私知ってるー」
「うっせーな、今説明してんだろうが」
「えー、別にいいじゃん」
唯一知り、覚えているものは、一人だけ居たのだった。魔法を操るという変わった女の子だったのだ。
「お前のせいで、変な説明になったじゃねえか」
「人のせいにするのは良くない」
「何を名台詞みたいなこと言ってんだよ」
「かっこいいっしょ」
「は?どこがだよ」
これは、世界の滅びを必死に止めようとする若者達の物語
「君こそ、かっこつけてんじゃん」
「俺はいいんだよ、男だから」
「は?意味わかんないんだけど」
「お子ちゃまに分かるわけねえだろ」
「私は、お前と同じ16だ!お子ちゃまなどではない」
これは、最強という名の魔法使いと最弱という名の剣使いの物語
「お前、なに勝手に俺を最弱にしてんだよ」
「実際君は、弱い、というより最弱じゃないか」
「いやまあ、それはそうだけど、お前が最強というのはおかしいだろ」
「おかしくない」
あるいは、
最強と、
最強の
物語
あるいは、
最弱と、
最弱の
物語