第52話
勇者&お嬢様チームが紅葉が仕掛けたトラップにはまる様子を見ている紅葉たちは
「あははは」
「ギャハハハハ」
「くっ、ふふふ」
大笑いしていた。
悪筆な紅葉のトラップばかりはまる彼らはなんと哀れな。
「あー、笑った笑った」
「あいつらも災難だな((笑)」
「クレハのトラップしか引っ掛かってないな」
ギャーーーーォ
「!」
「なんですの!」
「かなり近い」
お!始まった。勇者とサバイバルと言えばワクワク勇者の力試し。
定番のドラゴンだろうけど、どの種だろうか。
「……ファイヤードラゴンがいいな」
「クレハは何を能天気におぞましいこと言っているんだよ!」
「え?かっこよくない」
「そうだけどー」
ギャーー
「こちらに近付いて来ているな」
「こっちもか!」
「まあまあ、落ち着いてよ。ゼン」
「リョウは落ち着きすぎだ」
「先生たちもきっと気づいているよ」
「影が見えてきましたわ。……あれはブラックドラゴン!!」
「ブラックドラゴンか。あれもあれでかっこいいよね」
「ブラックドラゴンだと!あー、突っ込んでいる時間がない」
「キャー」
慌てている二人と落ち着いている三人の差が激しい私達が話している間にブラックドラゴンは朝日たちのもとに降り立ったようだ。
「なんでよりにも駄勇者のもとなんかに」
エレレが青い顔で言った。
ブラックドラゴンはSS級の魔物だ。気勢が荒く攻撃的なドラゴンだが、認めた者にはそれなりの礼儀を重んじる。言わば頭のお堅い戦闘狂。
「なんかやらかしたのか?」
「あるかもねー。アハハ」
「笑い事ではありませんわ!」
「何はともあれ行ってみるぞ」
「そうだな」
「はーい」
「能天気だよな。ハァ」
ルイが向かったのを他四名がついていった。
◇◆◇◆
ブラックドラゴンと朝日たちのもとに付き、戦闘を観戦しているのだが
「これは……」
「ないわー」
「弱いの一人をブラックドラゴンが遊んでいるねー」
「他の人たちは何で観戦しているかしら!」
「それは朝日だろうね」
皆が皆好きッかて言っているがまさにそのまま、ありえないを体現している。
「もっとやれ~。ブラックドラゴン!」
「本来は勇者を応援するはずですのに。もっとこてんぱんにしてしまいなさい、ブラックドラゴン」
「ブラックドラゴンを応援し始めたよ」
「いいぞ。ブラックドラゴン」
「俺もなんか言った方がいいか?」
「いらないと思う」
駄勇者の朝日がブラックドラゴンにやられる姿はなんとスカッとするものか。
「紅葉、そろそろ止めないと覚醒しちゃうと思うぞ」
「ほーい」
「うわっ」
「キャー」
遼に言われ、私は大きな氷を数個作り勇者とわざとお嬢様たちにも向けた。
「紅葉!それに皆も!ここは危ない!逃げて」
「ブラックドラゴンさーん。何をそんなに怒ってるんですー?」
「紅葉。そいつは危険だから」
「其奴が産まれたばかりの卵を盗んだと聞いた」
「そうなんですか」
朝日たちがクエストで取ってきたのか無断で盗んだか、どちらにしても最低だ。これは当然の酬いだね。
「最低ですわ」
「おい、その卵どうした!」
「知らないよ!卵なんて!」
「お前ら、無事か!」
「カナやん、この駄勇者がブラックドラゴンの卵泥棒して怒りを買ったから生け贄になってもらおうよ」
「な!貴女なんてことを言うの!」
「そうよ。勇者様が悪いわけないざゃない」
カナやんが転移してきて、一番平和的解決法を提案したらビッチが騒いだ。
「気持ちは解るが我慢しろ」
「え~」
却下された。
「ヨツバ。思い出せ」
「ん~」
「……卵……これ?」
獣人ララが普通のより大きな卵を持って聞いてきた。
「それだ!」
「ララ、この卵は?」
「……朝日…が……捨てて…あったから拾った…私は……お世話」
「やっぱり、テメーじゃないか!」
「だって!」
「ブラックドラゴン、これで怒りを静めてくれないか」
「わかった」
「助かる」
こうしてイベントは終了した。
◆◇◆◇
「なんで!」
「そうよ」
「不公平です」
ビッチたちがまた騒いでいる。
「何度も言っているだろ。これは決定なの。お前たちは今回の件で三等室行きだ」
朝日たちはブラックドラゴンの卵の窃盗の罰として三等室行き。これはめちゃくちゃ軽い。普通は牢獄行きもおかしくない。
「明日は海水浴だ」
「楽しみですわね」
「スイートルームか」
「男とはきついね。豪華だけど」
「俺は寝る」
臨海学校のキャンプの優勝はマイペースな紅葉チームでした。




