第43話
遼サイド
Aクラスの教室
今日から2学期が始まる。
そして、紅葉たちが転校してくる日でもある。
「不安だ」
「急にどうしたのですか?リョウ。取り巻きたちで何かありましたか?」
「そうよ。これから臨海学校だってあるのよ」
話かけて来たのは俺がこの学園でできた友人、属性貴族水のサファイア家次期当主のアレンと庶民のマリーだ。
「そう言えば、転校生が中等部に一人、此処に二人来るって知ってる?」
こいつはリツカ。
アナリ商会の次期代表者で情報収集にたけている。
「あ、転校生の噂は流れてたよ」
「SSランクらしいよ」
「うそっ!」
「本当だ」
「言い切るということはリョウは知ってる人なのですか?」
「一人は特にな」
「一人?」
一人だけでも知ってる俺に質問がたくさんきた。
「誰?」
「女?男?」
「どんな人ですか?」
「一斉にするな」
「では、どのような人が転校してくるのですか?」
まとめたような質問がきたな。
「苦労人と問題児」
これがあの三人を表すのにぴったりだ。
「どういう意味ですか?」
「?」
「苦労人と問題児?」
「そのままの意味だ。因みに問題児はこれから会う転校生だ」
「なんかたいへんそうな人?」
「面倒な性格はしているな」
「えー、やだなー」
「こら、マリー!」
大変の一言で表せれるか、あの二人は?
「それで不安ですか?」
「ああ、特に朝日で」
「また、やらかしたのですか!」
「いや、前からだから」
朝日はこの世界に来ても問題を起こす。
魔物退治の時は魔法の威力を間違えて森を火事にしたり、戦争は止めようだの話し合いをすればだのこの世界にはここのルールがあるっていうのに。
「なんであんな人が勇者なんでしょうか」
「さあな」
世界神が面食い、ビッチだから、なんて言えない。
「ん?ていうことは幼馴染みですか?」
「正解」
「え!まじ!」
「もう一人は最近知り合ったっていうか、幼馴染みと一緒にいた」
「へー、なら仲良くなれそう」
「どうだろうな」
「どういうことですか?」
「あいつ色々と敏感だから」
「なるほど」
「?」
アレンとリツカは理解したようだ。
貴族と商人だからだろう。
「マリーとは仲良くなれないかもしれないな」
「ああ」
「どういうことよ!」
さっきの発言からマリーは俺の幼馴染みだからという理由で仲良くしようととらえられる。
「お前ら席に着け」
担任が入ってきた。
「転校生を紹介するぞ。入ってこい」
問題児のお出ましだ。




