第41話
レイの部屋前
「どう行こうか?」
「普通に行け」
「それじゃつまらん!」
私はレイを食堂に誘いに来たが全く関係ないことで悩んでいた。
どうやってレイを脅かすかだ!
私はフェンとノアールを見て思い付いた。
「二人が呼んで。私はかくれてるから」
「はぁ」
そしてすぐ自分に幻術をかけた。
フェンがインターホンを押すとレイは出てきた。
この寮、インターホンが付いているんだ。
どこかのマンションかよ。
「誰だ」
「あー、その」
「……」
レイはフェンたちを見て警戒する。
「……フェンリルだ。こっちがノアール」
レイは知らないやつらの正体を聞いて驚いた顔をしたがすぐに無表情に戻った。
「ノアールも人化出来たんだな」
「まあ」
「ヨルも出来るんだだよな」
「そうだな」
「クレハ、出てこい」
「呼ばれて飛び出てじゃんじゃじゃーん」
「……」
「ぶー、なんか反応してよー」
「食堂に誘いに来たんだ」
「そうか。ルキはまだか」
「これから」
ルキくんもレイと同じ方法で食堂に誘った。
こちらはかなり驚いてくれて面白かった。
「普通に誘え!」
「えー、嫌だ」
「場所は解っているのか?」
「ぜんぜん」
「……」
「……マララさんに聞きに行こう」
マララさんから食堂の場所を教えてもらった。
フェンたちを見てすごく警戒してたけど説明したら納得してくれた。
むしろ、凄いと誉められた。
なぜ?
◆◇◆◇
「ここが食堂だな」
「へぇー、本当に無駄に広い」
「無駄ではないと思うよ。ノアール」
「人が少ないようだが」
食堂に着いた。
またこれが凄く広い。
「明日か明後日には埋まるだろう」
「そうだな。席の確保が大変そうだ」
「すみませーん。ラフサール料理のフルコースをお願いします。皆は?」
私はさっさと席に座り、注文した。
ラフサール料理とはフランス料理みたいな料理だ。
「俺は肉」
「魚」
「同じやつにワイン」
「はやっ。俺はボスカイオーラとサラダね。なんかこういう展開に慣れてきちゃったな。とほほ」
「ラフサールを追加でオススメのワインを一つとオススメの肉料理と魚料理、サラダとボスカイオーラを一つずつ」
「かしこまりました」
貴族が多く通う学園だからシェフの腕も一流だ。
一流に慣れた私とレイの舌を満足させてくれるかな?
「にしても、ラフサールのコースなんて貴族ぐらいしか頼まないと思うぞ?」
「そう?」
「マナーとか面倒だろ」
「そうだね。でも、叩き込まれて慣れたから」
「叩き込まれて?」
天界時代でオルじぃに叩き込まれた。
「これはエテーゼか」
レイはいつの間に来たワインを味わっている。
「お待たせしました。サラダと前菜 トマトの野菜詰めでございます」
「げっ」
「ノアール、少しは食べてね。残りは私が食べるから」
「うん」
前菜はとても色鮮やかで綺麗だった。
味も美味しい。
「サラダでございます」
これはノアールたちと同じサラダだった。
貴族だったら文句が殺到しそう。
次に運ばれてきたスープはかぼちゃの冷スープ。
これも文句なし。
白パンも少しモチモチして美味しいけど、モチモチしてて良いのかな?
「魚料理 サギのパイ包み、猛牛のステーキとトビナイフィッシュホイル焼きでございます」
「猛牛か。しかもデカイ」
「暑そう」
「少し冷めた状態にしてあげるから」
ノアールは猫だけに猫舌だった。
私は時間魔法をこっそり使い少し冷めた状態にした。
「うまいな」
「そう」
フェンは満足したらしい。
「ん?」
「レイ、どうした?」
「いや、少し」
「なんか……パサパサ感が」
「やはりか」
「え、美味しそうじゃん」
「焼き過ぎだね」
「だな」
ソルベは美味しかった。
ブルーリンゴのシャーベット。
「お待たせしました。ボスカイオーラでございます」
「お、やっと来た。フェンたちを見ててお腹が空いたよ」
だろうね。
「メインディッシュ 鴨肉の香り焼きでございます」
「俺にも一切れくれ!」
「いいよ。あーん」
「これも上手い」
「うまいな」
「はぁー、この人たちに羞恥心はないのだろうか」
フルーツは梨、デザートはスフレチーズケーキ。
チーズケーキはとてもきにいった。
食後のコーヒーとプチフールの一口ショコラで一息。
「ふー、美味しかったけど、なんか物足りない」
「俺は二人の食べっぷりでお腹が一杯になりそう」
「そのうち慣れるだろう」
フルコースはけっこう量があるからね。
「あれ?見かけない顔だな」
まったりしていると学園の生徒だろう金髪で緑の瞳をした人が来た。
「こんばんは」
「こんばんは、俺は生徒会長のユーノ・ア・カタルシア君たちは?」
「私はクレハ・サクライです」
「レイ・ブライアン」
「ルキです」
「そうか。転校生か?」
「はい」
カタルシア家はチェカータ帝国の王族だったっけ。
「あ、クレハたちいたー」
「うるさい。ゼン」
「あれ?会長もいる」
「本当だな」
「やぁ」
「どうも」
「こんばんは」
ゼンと遼も食堂に来た。
私達を探していたようだ。
「会長も早いですね」
「あのクズたちのお陰でね」
「あ、あはは」
クズ?
「クズとは?」
「会長以外の生徒会役員」
「乙女ゲーの逆ハー」
「なるぼど」
「なぜ?そんな説明で理解できるんだ?」
「世界観の違い」
「…そう」
まさか、逆ハーが世界にあるとは。
「魅了系のモノではないのか」
「多分な」
「鑑定士でも呼べばいいじゃないの?」
「うわっ!」
「?」
白髪の長い髪に菜の花色の瞳をした聞き覚えがある声の可愛い少年が出てきた。
「ヨルか」
「鑑定士でわかるの?」
「ねぇ、誰か突っ込もうよ!色々!」
「ゼンさん、諦めてください」
「ルキ!」
この少年はレイの使い魔のヨルムンガンド。
「この子は?」
「俺の使い魔」
「はじめまして。ヨルです」
「はじめまして。ユーノだよ」
「会長、順応力ありますね」
「ありすぎじゃね?」
ヤワヤワだ。
「多分、変えざる終えない状態だ」
「ご苦労様です。胃薬が必要なら言ってください」
「そうするよ」
「俺達は部屋に戻りますね」
「ああ」
遼たちはクレハがラフサール料理のフルコースを食べたと知ってその食べっぷりに驚いていた。




