第39話
「ダンラークさん、お世話になりました」
「お世話になりました」
「今日からか?」
「うん。始業式は明後日だけど街とか見ておきたいから」
「俺達は土地勘がないからな」
今日、ソレイユ学園がある学園都市に行く。
リョウたちが迎えに来てくれる。
「そうか。たまには遊びに来いよ」
「お祭りの時とか来るよ」
「そうか。余り暴れるなよ」
「……」
「……」
「クレハ、レイそこで黙るな」
「あははは」
◇◆◇◆
「お、来た。おーい、こっちこっち」
呼んだのはゼン。
街中の喫茶店で待ち合わせをしていた。
「お待たせ」
「そんなに待ってないから大丈夫だよ」
「どうしました?リョウさん」
リョウは私を見て驚いていた。
「いや、紅葉が時間を守ったから驚いて」
「ひどいなー」
「いつも遅刻していただろ。めちゃくちゃな低血圧で」
「えへっ」
「カワイイけど誤魔化せんだろ」
「ゼン、そこは誤魔化せられようよ」
「レイたちはなんか注文するか?」
「俺はブラックコーヒー」
「僕はカフェオレと季節のフルーツタルト」
ルキくんは意外と甘党なのだ。
「私はアールグレイとスフレ,タルトタタン,レアチーズ,ザッハトルテ。会計はゼン持ちで」
「おいちょっと待て!」
「クレハ!駄目だよ」
「ルキ……」
「そんなに頼んだら太るよ」
「そこか!」
「大丈夫。食べても太らない体質だから」
「ゼンの奢りか。なら、追加でオペラ」
「同じく追加でガトーショコラを一つ」
「レイ、リョウ!」
「ここのお店ね。王室御用達のパティシエだった人が紅茶やコーヒーが好きで開いたんだってだから、美味しいよ。ちょっと高いけど」
「クレハ、知っていてめちゃめちゃ高いやつ注文したな」
「うん。ゼンの奢りだし」
「誰が奢りるって言った!」
「あ、着たよ」
「待ってました!」
「ゼン、ごち」
「うまかった」
「ゼンさん、ご馳走さまです」
「くー、会計前に転移して逃げるとは。普通は店内で転移はできないはずなのに」
「注文の時に会計はゼン持ちでって言ったから」
食い逃げや万引き防止で店内では転移はできない。
だが、払う人が明確な場合は可能なのだ。
「そんなこと知らなかったな」
「えへへ、この前、支払いをダンラークさんに押し付けた時に発見したんだ」
「詐欺じゃね?」
「警報鳴ってないもーん」
「そろそろ行くか?」
「うん。よろしく、遼」
「了解。テレポート」
◆◇◆◇
遼は学園都市の門前に転移した。
「中でも良くない」
「犯罪者と間違われるぞ」
「それはやだな」
門番の元に行き検問を承けた。
「そこの三人は証明書を見せてください」
遼たちは顔見知りなのだろう。
私達はギルドカードを門番に見せた。
「ありがとうございます。どうぞ」
門を通って街に入る。
「礼儀正しい門番さんだったね」
「ああ、けっこう乱暴なやつが多いから珍しい」
「あの門番はランラッドさんていって警備兵の隊長さん。礼儀正しくて親切で優しくて人望も厚い。あれでまだ独身だから学園の女子からの人気も高い」
「そして天然だ」
「なんかそんな雰囲気が出てるよ」
「ホワワンって感じで出てます」
「確かに」
「だが、実力はあるな」
「だね。だてに隊長を勤めてないよ」
これからランラッドさんをランさんと呼ぼうと私は決めた。




