第37話
レイサイド
俺はある日、野良猫と出会った。
「レイ様だわ」
「本当ですわ」
「いつ見ても美しいですな」
「ええ、さすが我らの王ですな」
俺は唯一の純血の吸血鬼で吸血鬼の王に君臨している。
そして、現魔王サフェートの部下、四天王の一席にいる。
今夜は夜会だ。
吸血鬼たちはこういうのが大好きだ。
俺はごめんだがな。
「ごきげんよう。レイ様」
「ああ、シーナタ侯爵も」
「はい。レイ様に我が娘を紹介したいと思いまして」
「初めまして、レイ様。私、マリーと申します」
またか。
自分の娘を王妃にと我先に紹介させる。
ああ、うんざりだ。
「レイ様、そろそろ側室でもよろしいので妃をめとったらどうですか」
「嫌だ。あの声が耳障りだし、香水も臭い」
「あー、わかるな」
「これ、サヤカ!」
妃をめとるよう言ってきたのは俺の補佐をしているアルスーラだ。
そして、アルスーラにとがめられたのは俺の護衛のサヤカ。
アルスーラは俺が子どもの時から見守ってくれた、サヤカは俺の幼馴染みでこの二人はもっとも信頼している。
「……」
「あ、レイ様!」
「いつもの所だろう」
「護衛が行かなくていいのですか」
「一人で考えたいこともあるだろう」
俺は世界樹の森にある湖にいる。
ここはお気に入りの場所だ。
ここで昼寝をしていると、足が何かに当たって目が覚めた。
「いたた」
犯人はこの女のようだ。
この女はクレハと名のった。
俺のことも知らないし、場所も聞いて驚いて、変な仔犬をつれたおかしなやつだ。
しかも、吸血鬼のくせして王を知らないとはどんだけ下級のものだろうか。
俺は面白そうだからこいつの後を追った。
付いていったもののとんでもないことに巻き込まれた。
こいつは魔王城に奇襲をかけやがった。
魔王と知り合いならケーマで連絡とれよ!
しかも、四天王に勝つし、強いのは確かだ。
しかし、アキガが俺の顔を忘れていて助かった。
魔王が出てきた時、ヤバイと思ったが本当に知り合いだった。
スゲー、驚いた。
それから、吸血鬼同士何かと一緒に行動するようになった。
今現在、人間領にいる。
新しく風帝になった。
魔族なのに思いっきり馴染んでいる。
「レイは紅葉と一緒に行動してるんだよな」
クレハの幼馴染みだという人間、リョウが話してかけてきた。
「そうだ」
「これから学園に来るんだよな。紅葉で困ったことが沢山あるから相談にのるよ」
「ああ」
”ある”って……。
しかも、クレハは吸血鬼のはず、なぜ、人間が幼馴染みなのだろうか?
「これからよろしく。レイ。そして、苦労をかけるよ」
「こちらこそ」
こいつは俺が知らないクレハを知っているんだな。
なんか、おもしろくない。
だが、何かがそこら辺の人間と違う。
こいつはおもしろそうな人間だ。




