第36話
ルキサイド
俺は何故か帝になってしまった。
クレハたちと行動してからろくなことがないかもしれない。
俺は、ある侯爵家の生まれだ。
だが、
「なんで、なんでよ。なんでハーフエルフが」
「穢らわしい!」
両親は人間だ。
俺はすぐには捨てられなかった。
世間体を気にしたのだろう。
俺は乳母のマーリンに育てられた。
マーリンは世間に出ても恥ずかしくない教育を施した。
「お上手ですよ。ハンス様」
「本当か!」
「ええ」
マーリンは俺にとって母親同然だった。
俺が13歳の誕生日から数日、マーリンは亡くなった。
寿命が来て亡くなったのだ。
これはいいチャンスと父親は俺を捨てた。
「これでおまえの顔を見なくてすむ」
両親は俺を捨てられて清々したであろう。
「ここどこだよ」
俺は父親の転移で知らない場所に飛ばされた。
「バォーー」
どこからが大きな鳴き声が聞こえた。
「……やばいかも」
ドスン ドスン
足音も聞こえる。
「こっちに向かってる?」
やばいと解っていながら音がする方を向くと薄暗い暗闇から赤色の点が見えた。
相手も俺を捉えてた。
「ブォー」
それは魔物だった。しかも、俺より何倍も大きい個体だ。
「グランドプリズン」
「ブァーー」
「これで終わりっと」
俺はハーフエルフだから魔力も多く、魔法も得意な方だ。
パチパチパチパチ
「誰だ?」
こうして俺はクレハとレイに出会った。
ハンスという名を捨てルキという名になった。
「もう一瓶!」
「お嬢、やるなー」
「ふっふんー」
「何本目ですか?」
「樽、三杯目だよ。エリンさん」
「……」
「エリン、おまえも飲むか?」
「遠慮しときます」
「勿体ないな」
「炎帝、ギブアップか?」
「……まだだ」
「なかなかのワインだな」
「その歳でワインの良さがわかるとは」
「いや、よく飲むからな」
「そうか」
「一番はエメルから作られたカナタだな」
「お、幻とまで言われた一流の一級品を味わえたとは」
「ああ、運が良かった」
皆、好き勝手していてどんちゃん騒ぎだ。
俺はクレハの幼馴染みで時帝のリョウさんにクレハのあの性格について質問した。
そしたら「アサヒのせいで性格が歪んでしまった」と教えてくれた。
この駄勇者のせいっていったい何をしてきたのだろう。
「紅葉といると大変だろう」
「レイもいるんで大変です」
「はは、楽しくやっているようだな」
「まあ、感謝してます。リョウさんといた時のクレハもあんなでしたか」
俺が拾われろ前のクレハを知らないからなんとなく聞いてみた。
「半分はな」
「半分?」
「俺らは顔がいいから邪魔なビッチどもが周りにいた。 紅葉は幼馴染みだからやっかみが酷かった。小さいころからな」
「クレハなら蹴散らすと思いますけど」
短い間とはいえクレハの性格は理解しているつもしだ。
あのクレハがおとなしいわけがない。
「ああ、盛大に仕返ししたぜ。あれは面白かった」
「面白かった?」
「聞くか?」
「……少し」
「最悪なテストの答案用紙のコピーを学校や周りに貼りまくったり、彼氏に知られたくないことを教えたりなど知られたくないことをどこからが仕入れてばらまいていた。証拠付きで」
「クレハだ」
てか、情報網すご!
「学園でもやるだろうから楽しみだ」
ここにも腹黒かドSがいる。
「ルキ、レイってどうなやつだ?」
「レイ?」
「それに前と姿が違う」
「え、違うの!」
「髪の毛は茶色、右目もグレーだ」
「俺が会ったと時からあんなでしたよ」
「そうか」
今とリョウさんが知るクレハの姿が全然違う。
なぜ?
「それよりレイについてだが……」
「はい。レイは無口無表情だけどしっかりしています。あと、クレハと同じような所がありますね」
「同じ?」
「ドS腹黒」
「なるほど」
「今まで離れていて心配しているんどろうと思いますが心配ないでしょう」
「そうか」
リョウさんはなぜか曖昧な感じ返事をしてきた。
「まあ、ルキも色々と苦労するが頑張れ」
「……はい」
するって言い切った。
そうだろうなこの問題児の二人と行動するなら。




