第32話
魔物の軍勢をクレハとレイが全滅させてから3日がたった。
私たちはダンラークさんに呼ばれてギルドに向かっている。
その中……。
「おい、見ろよ!台風姫と冷徹の貴公子だ」
「本当だ!あの若さでよく全滅されたよな。まだ、学生だろ?」
「ああ、全滅なんてできるのは全帝ぐらいだろうに……」
「キャー、冷徹の貴公子様よ」
「なんて美貌なの!この世のものとは思えないわ!」
「あの甘い声で呼ばれたい!耳元で囁かれたらいってしまうわー」
「あの神々しさ!話し掛けるのもおこがましい!」
「あ~、一度でも抱いてほしい!」
「台風姫だ!くー、その美脚で俺をなじってほしい!」
「ああ、その口から罵倒を浴びたい!」
「俺、この前Aランクの冒険者が浴びてたの見たぜ」
「なに!」
「依頼を一緒にって誘ったら……」
「……誘ったら……」
「なんで貴方なんかと組まないといけないの?ギブアンドテイクにならない。それにただ楽したいだけじゃん。また一から始めたら?って」
「くー」
「一緒にいるチビが羨ましいぜ」
「一緒にいるならかなりの実力者よね?」
「期待の新人か」
見よ!街を歩くだけでこの騒ぎよう。
もう有名人!
「はー」
「どうしたの!ルキくん」
「よくこの状況に慣れますね」
ルキくんはこの状況に慣れないようだ。
「順応性は大事だよ」
「あんたたちが柔柔なだけ」
「そうだろうか」
「それにしても何のようだろう?」
「ランク上げじゃないの。一気に二つぐらい上げてくれるかも」
私たち大活躍だったもん。
「そんなに甘くないと思うぞ」
「じゃあー、ギルド本部から呼び出し?」
「それは……あるかも……」
そんな話をしているとギルドについた。
支部長室の主に断りもなしに入り……。
「ダンラークさーん、ランク上ーげーてー。二個ぐらい」
「ドアを開けて一言目がそれか!」
「違うの?」
「本部からの呼び出しだ」
「あー、やっぱり」
ルキくんが迷惑そうに言った。
「なんだ予想できてたのか」
「まあねー」
四百万の大群を二人で全滅したならこうはなるだろう。
「意外だな」
「私たちをなんだと思ってるの?」
「戦闘狂の問題児と色魔の問題児とツッコミ役の若き苦労人」
「ぷっ、……色魔……くくっ」
「……」
「ツッコミ役……」
レイは意外に女遊びをしている。
レイ曰く、たまに生の血が飲みたいそうだ。
発情してる時の血は旨いらしく、そのついでにやっちゃえみたいなのりで……。
でも、屈託がないわけではない。
レイに抱かれた人はに血を飲まれてるなんて気づかないし気づけない。
あれ?貧血かな?って思うぐらい。
吸血鬼の唾液は治癒効果や癒し?効果が高いから噛跡なんてすぐ直るからね。
「くくっ、歩く18禁の名がつくのは遅くないかもね。レイ」
「うるさい」
「俺は早くに禿げそうだ」
「ルキくんはまだまだ若いでしょ」
「誰のせいだ!」
「?」
「わざと、首を傾げない!」
「ごほん、そろそろ本部に向かっもいいか」
「目的を忘れるところだった」
「忘れるな。今回は急だから転移の魔方陣で行くからな」
「はーい」
私たちは転移の魔方陣の上に乗る。
「よし、行くぞ」
ダンラークさんが魔方陣に魔力を流し、ギルド本部に転移した。
「ふーん、ここが本部ねー」
「転移専用の部屋があるなんて大きい建物なんかな」
「おまえら、これから隣の部屋にいるギルマスと帝たちに会うから粗相のないように」
私は隣の部屋に続く扉を開けた。
「何のよう?」
「言ったそばからか!」
いや、ギルマスだろうが帝だろうがどうでもいいし。
「な?!断りもなしに入るとは無礼だぞ」
青色のローブを着た人がそう言って怒りだした。
「水帝、落ち着け」
紫のローブを着た人が青色のローブの着た人、水帝を止める。
「な!雷帝よ、上の者を敬うのは当然だろ!」
へー、紫の人のこの人が雷帝ね。
「こんな奴を敬いたくない」
「な!貴様!」
「だから落ち着けって」
「クレハ!火に油を注ぐような発言はよせ!」
「えー、嫌だ」
「俺もこいつのような器が小さいやつを敬うなんてごめんだ」
「レイ!」
「俺も。こいつは貴族の考えた方をしてるから嫌だね」
「ルキまでもかよ」
「ははは、元気な奴等だ。ちなみに俺もこいつらの意見に賛成」
「おい、炎帝!」
話がわかるねこの人。
「辛口の評価ですね」
水色のローブを着た人が言った。
ん?この声って……。
「呼び出してすまないがまだ全員が揃ってないんだ。少し待っててくれ」
若い男性が言った。
ローブを着てないからどこかのギルマスかな。
「わかりました」
バンッ
「すみませーん。遅れましたー」
「全くだ。風帝」
「遅れました」
げっ、この声!
「な?!なぜ勇者がいる!おまえには伝達は回してないはずだ」
ギルマスであろうダンディーなおじ様が言った。
「勇者様をー仲間外れなんて酷いからー私が連れて来たの」
「風帝!余計なことを」
「そうですよ。皆、僕だけ仲間外れなんて酷い」
「今回の件はギルドの問題だ!勇者の出るまくはない」
「本部に呼ばれたならその人は悪いことをしたんでしょ?僕は自分がやった行いを反省してもらおうと思って話に来たんです」
おい、勝手に決めつけるな!
「それは違う……」
「君たちだね!いったい何をしたんだい?僕は君たちが反省して心を入れ換えてくれると信じるよ!」
「いや、だから……」
「勇者様!格好いいです。さあ、貴方たち何をしたの?」
こいつら全く人の話を聞いていない。
それに朝日!外見は少し変わったが私はおまえの幼馴染みだろうが!
「さあ!」
「ダンラークさん、こいつうざい」
「ダンラークさん、こいつの肝を引き抜いていい?」
「……」
私たちは勇者である朝日の行動に頭にくる。
「ルキ、我慢してくれ。クレハ、こいつは仮にもか・り・に・も勇者だ。止めてくれ。レイ、無言でローライを出すな」
仮にもって二回言った。しかも、二回目は強調されて。
「おまえが勇者か?」
「え?あ、うん。そうだよ。僕は勇者のアサヒ・ヨツバだ」
レイは初めて会うね。この駄勇者に。
「こんな貧弱で勇者が務まるのか?」
「え?」
「な!なんですって!」
「ぷっ」
「あはははは、こいつ、くくっ、いいやがった」
レイ、直球すぎ。
私は笑うを堪えられず吹いたが、雷帝はお腹を抱え笑った。
「ふふ、話が進みませんよ」
「あー、悪い」
「来てしまったなら仕方がない。二人とも早く席につけ」
「はい」
「はーい」
黒いローブを着た人に促されて朝日と風帝は席についた。
「さて、始めよう」
さて、なんて要求が来るのかな?




