第30話
学園へ通うためのアナリ商会で準備をする日。
ノアールたちはお留守番中。
「おはようございます」
「おはよう、クレハちゃん、レイくん。君がルキくんだね。私はバン。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
ふふ、ルキくん緊張してるのかな。
「ソレイユ学園に通うんだよね?」
「はい」
「私の息子も通ってるんだ。仲良くしてくれ」
「わかった」
「アナリ商会で準備する物は制服・ロープまたはマント・カバン・筆記用具・ノートぐらいだね。寮の方は基本的な家具は揃ってるから学園都市で好きな物を買うといいよ。靴だけど自分がらくな物を準備してね」
「なんでマントがいるんですか」
まるで戦えって言ってるようだ。
「王族が来日するイベントも多くあるかはね」
「そうですか」
「王族ねー」
私はそう言いながらレイを見る。
「クレハ、なぜ俺を見る」
「レイの顔は女受けいいからお貴族様のご令嬢に気をつけてね」
「はー、おまえに言われたくない」
「あはは」
確かにね。自分で言うのもなんだけど美人だから。
ルキくんも食べられちゃいそう。
「そうだぞ、クレハ。クレハも色々な意味で貴族のやろうに目をつけられるだろうからな」
「そだねー」
「かるっ」
「でも、ルキくんもだよ」
「皆、顔が整ってるから大変だろうね」
「そうですね。バンさん」
吸血鬼の私やレイ、エルフの血が流れてるルキくんはもちのろんで美形。
貴族が我が儘を訴えてきそうだ。
「さてと、まずは制服の寸法を測ろう」
「はーい」
「なー、クレハ」
「なにー、ルキくん」
「怖いんだけど」
「はは、諦めて」
ルキくんの言うこともわかる。
寸法を測ってくれるだろう女の人の目が肉食獣の目だったから。
「クレハさん、こちらの部屋に」
「はーい」
「ふふ、ふふふふ」
……怖いんですけど。
別にいいじゃん。スタイルが抜群だったぐらい。
あなたがまな板だかるって、知らないよ!
「これで終わりです。ふふ」
「……あ、ありがとうございます」
測定が終わり部屋から退室した。
「お、終わったか」
「あ、クレハか」
「二人とも……」
先に終わっていた男子人はかなりダウンしていた。
お姉様方にもみくちゃにされたそうだ。
「あの人たちのテンションについていけない」
「レイ、……これからそんな人たちが集まる学園に行くんだよ……」
「うっ」
女ってすごいからね。
「こらこら、男がそんなんじゃ駄目だぞ」
「あ、バンさん!」
「寸法が終わったね。次は筆記用具とノートだね。カバンは指定されているから後でね」
カバンは指定されてるんだ。
「今、うちが扱ってる商品はこれで全部だよ」
「……これで……」
これでって言う数の筆記用具やノートではない。
「どれにしようかな」
「なんでこの数スルーできるの!」
「ルキくんも好きに選びなよ」
「俺はこれを」
「早いなー、レイ」
レイが選んだのは黒がメインで赤横ラインが入った筆箱に黒のペン類、筆箱と同じくデザインのノートのセット。
「レイはさ、黒が好きなの?」
「好きというか落ち着くんだ」
「へー、俺はこれな」
ルキくんは魔方陣がペイントされている青の筆箱と青と黒のペン類、ノート。
「魔方陣?」
「それね、その自動修正の魔方陣だよ。長持ちするから人気なんだ」
「便利!」
「クレハはまだか」
「えへへ、迷ってて」
「はー」
だってピントこないんだもん、可愛いけど。
しかも、女の子なんだから長いよ。
「んー」
「今さらだけどさ、俺たち試験受けなくていいの?」
「ルキは会ったことないがアンジェラという女が学園へ推薦状を出した。そいつが受けろとは言ってない。学園が文句を言えない位にいるということしか、わからない。クレハは帝あたりではないかと推測している」
「へー、そうなんだ」
んー、桜か紅葉か迷うな、これもいいな。
「どちらにしようかな、神様の言うとおり」
「バンさん、決まったよ」
「ふたつもかい」
「うん」
私は春夏秋冬の四季のキーホルダーがついた筆箱に緋色のペンと水色のペンとノート、ネコがモチーフの筆箱だ。
「さっきのやった意味ないだろ!」
「それとこの色ペンも」
「こんなにいるのか。クレハ」
「私はいるの」
ノートをまとめるのに必要なの。
「バンさん、このペンってどうやって使うんですか」
「それは魔力でインクがつくんだよ。夜のうちに魔力を注いで次の日に使うんだ」
「へー」
「これで全てだね」
「支払いは?」
「アンジェラさんが支払いよ」
「え?!でも」
「ルキくん、ここは支払いしてくれる言うなら支払いしてもらおうよ」
私はルキくんの右肩に手をおいて言った。
「そうだ。もらえるものはもらってけ」
レイは私と反対の肩に手をおいて言った。
「常識的に駄目だろ!」
「ははは」
こうしてアナリ商会での買い物は終わった。




