第10話
「もう9年か~」
修行を始めてあれこれ9年がたった。
エデル兄によって剣・槍・弓・体術・魔法・魔方陣・馬術・暗殺・戦術・吸血鬼としての能力などあらとあらゆるものを叩き込まれた。
エデル兄は鬼教官だった。
始めた頃は身体能力が上がった私でも死ぬかと思った。
でも、今ではエデル兄と互角にやりあえるようになったのだ。
エデル兄はエリスの神の中で五本指に入るほどの強者だということが発覚した、ということはそこら辺の中級神なら簡単に勝てるということ……これ下界に下りたらやばくない!
どっかの王様とかに目をつけられるだろうが‼
オルじぃから行政や常識、歴史、世間のことと文字を教わった。
文字は読めるが書けないんだ。
まぁ、今まで日本語だったから仕方がないよね。
私は二人の仕事をお手伝いしてたから天使たちとも仲良くなった。
その天使たちから抜けた羽をもらって羽毛布団と枕を作った。
この寝心地がたまらん!
そうそう、なんとここに魔王が来たことがあったんだ。
エデル兄に報告しに来たんだって!
いや、驚いたよ。
そういえばエデル兄は魔神だったこと、忘れてたよ。
魔王の名前はサフェート・ブラット・ダークネス。
瞳がアメジストのような紫に黒い長髪を下ろして眼鏡をかけた知的な美丈夫。
それから報告しに来るたびなにかしらお土産を持ってきてくれるんだ。
魔族領は人間より豊かな土地に農業がさかん、技術も進歩している。
だから人間がこの土地を狙って戦争をふっかけてくる。
人間やめて魔族になって良かった。
私の誕生日には皆からたくさんのプレゼントをもらうのが恒例になってきた。
皆に誕生日がないからお祝いできないことが残念だ。
プレゼントは服やアクセサリー、刀や薙刀、魔道具など色々もらった。
一番驚いた誕生日プレゼントはオルじぃから子犬サイズのフェンリルをもらったこと。
北欧神話の怪物だよ!
グレイプニルで縛られてるでしょ!
その時のフェンリルの顔はげっそりしていた。
一体オルじぃは何をしたんだ!
そのフェンリルは私と使い魔契約した。
使い魔契約すると紋章がどこかに表れるんだ。
私は右目の目元辺りに薄水色の氷の結晶と炎の絵が小さくでてきた。
フェンリルは氷・炎・土属性だ。
エデル兄から黒猫の子猫をもらった。
エデル兄だから普通の子猫じゃないと思ったら、けっこう普通の子猫だった!
だって、エデル兄だよ!
エリスでは無属性の使える動物はたまに生まれるらしい。
子猫にはノアールとなずけた。
魔王からはモノクルをもらった。
これは私の神眼で得た情報を整理してくれるだ。
また、魔眼にも使えるので、とても使いがってがいいからよく使っている。
そんな楽しい天界での生活も今日でおしまい。
私は下界に旅立ちます!
「準備はいいか? 紅葉」
「うん」
「エリスでは、クレハ・オエ・サクラウッドと名乗れ」
「え?」
「わしらから旅立ちの贈り物ぞ」
「うん、いってきます」
「「いってらっしゃい」」
私の身体は光に包まれた。




