12日 切実にソーダバー
うちがちょっとの好奇心だけでお引越しにお付き合いさせていただきましたご一家、コウチ家は、暑くなると毎週水曜日にアイスを二箱購入します。棒アイスな。何を買ってくるかは毎回違うからわかれへん。まぁ、お気に入りはフルーツ果汁のアイスキャンディと、イチゴとチョコのソフトアイスかな。
とにかく、毎週水曜日はアイスの日なんやって。
理由は簡単、近所のスーパーが水曜日にアイスを値引きするからです。やっぱ狙うよな、そーゆーの。
今回はバニラアイス(十本入)と、ソーダバー(八本入)やった。お気に入りは今回気分じゃなかったようです。
「にゃーん」
あぁ猫ちゃん、うちは別にアイス狙ってるわけちゃうねんで。えぇなぁ思ってるだけやねんで。うちソーダ好きやねん。いや別に狙ってへんからな。美味そやなぁ言ってるだけやからな。
冷蔵庫の上で涼む猫ちゃんと戯れていたところ(足は軽く家から飛び出してます。はい)、中学校のバスケットボール部所属、カエが帰ってきました。
「エイー、今日水曜だっけ?」
ちなみに水曜日のこの時間、エイトは柔道に行ってて留守です。
「水曜か」
友達のところに遊びに行っているという風には考えへんのやな……。ま、時間的にな。遊んでたらもう帰ってる時間やからな。
冷凍庫を開ける音がして、あぁ、水色の箱があるー。涼しげやねぇ。やっぱ夏はアイスやねぇ。いや、水色とアイスは直接関係はないけども。
夏は、アイスと風鈴と扇風機orうちわがあったら様になるよな。今ならアイスとクーラーか。
カエが選んだのはもちろんソーダ! わかってる、わかってるわこの子! よくぞ開封してくれた! あ、いや、誰も居らん隙に食べようとか思ってへんで?
「あ、みゃーそこに居たんか」
「せやでー」
いや、うちが返事してもカエわからんやろけど。
ところで、このにゃーちゃんの本名をうちはいまだに知らにゃい。いや、知らない。
うちの覚えてる、コウチ家の人々の呼び方は『にゃー』『にゃー介』『みーび』『みゃー』『みや』『みゃび』『みゃんみゃん』……覚えてるだけでこんだけあんねんで? 本名どれやねん。ってか、この中に本名あんのか。たぶん『ミヤビ』とかその辺やろけど。
「欲しいのかにゃ」
えっ、わかっちゃった? ……あ、うちちゃいますね、すいません。
ミヤビ(仮)がアイスをガンミしてたから、心優しいカエちゃんはひょいと差し出してあげたのです。
「いただきます!」
「猫は食べたらダメなんだにゃー」
うち猫ちゃうもん! だから頂きます、ちょっとだけ。
そーっと口を差し出したところ、カエはソーダバーをひっこめました。え。ちょ、舌噛んだって。やめてーや、そんなん生殺しって言うねんで! 殺人罪! あ、いや、殺幽霊の心罪! 言いにくいわ。
カエはそのままアイスを食べ切り、木の棒は実にあっさりとゴミ箱に捨てられてしまったのでした。めっちゃ虚しい気分のレイちゃんです。うぅ。
「ただーいまっとぉ」
エイト! エイト、そう、冷凍庫を開けて! ソーダバーを……
「あ、バニラある」
ソーダバーを…………くそぅ、バニラ派か自分! 敵の間者か! あぁ、なんて美味そうに食べてるんだ。いや、まあそっちの方が素材良さげやけども。でも! アイスはソーダやろ!
こうなったら最後の望みをトーカに託す! 早く帰ってきて!
……と、願うこと……時計見てなかったけど、感覚として一時間。頼みの綱トーカが帰ってきた! 遅かったな! さぁ、さっそく冷凍庫を開けたまえー!
「あ、もうご飯出来てる」
「遅かったねー」
「うん、ちょっと帰りにコンビニ行って駄弁ってた」
……なぁ、にゃーちゃん。夜中に冷凍庫開いてても、チクらんとってな。