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8日 猫と柔道

 にゃぉーん。

 猫ちゃんはやっぱ可愛いにゃぁ。にゃぉーん、にゃ~。

 トーカカエエイトのお家、コウチ家のニャンコは超ラブリー。見てこれ! 綺麗な虎模様! 艶のある金(茶色とも言う)の毛並!

 もう完璧ですやん。そしてこの、内側茶色で外側緑の不思議な感じの目ぇな。じぃーっともう、レイちゃんのことしっかり見てくれちゃってるんですよ。ああああ、寄って来たーっ! もう可愛い! そのままうちの顔面とか体すり抜けて……え? あれ? うちちゃう? 見とったのオモチャ? 紐?

 ……しゅん。

 まぁ、せやろな。猫やもんな。あぁもう、紐にじゃれちゃって、可愛ぇわぁ。

 ちなみに、紐を操ってんのはトーカな。にゃんにゃん。ちょっと、ソレやらせて! ……こんど皆が出かけてる時にやってみよかな。

「背負い投げは――」

 で。

 なんでこんな和む雰囲気の隣の部屋で柔道したはるん。

 いや、まぁ、父と息子で柔道とか、ある意味和む風景のような気もするけどもやな。めっちゃバタンって音しましたよ今。エイトー、無事かー。

「ねぇ、背負い投げと一本背負いってどう違うん?」

 さっき部活から帰って来たばかりのカエが、そのドタバタ父子を眺め、アイスを舐め、と涼しげな格好で立っています。

「エイ、説明したり」

「えーっと、な。背負い投げがこうで……」

 腕を前に突き出して、相手を掴むフリのエイト。そのまま体をぐるんってやったら、投げた事になるらしい。

「で、一本背負いがこう」

 腕を前に突き出して、相手を掴むフリのエイト。そのまま体をぐるんって……

「いや、違い分からんし」

 うん、うちも分からんかった。

 いつの間にか来ていたトーカもうんうん頷いてる。

「相手居ぃひんから……」

「カエちゃんにかけてみたら?」

 と、いうお父さんの言葉でエイトがちょっと笑顔になったのは気のせいかしらん。ねぇニャー介。

「にゃぁぉ」

 そうか気のせいかー。

 カエのTシャツと腕(半袖やからな)をつかんで、グイッと持ち上げるエイト。おぉ、四つ年上のお姉ちゃん持ち上げた。すごいなぁ。……あれ? 四つ違いにしては身長差無い……? うちの間違い? エイトって今小学何年やっけ。まぁ、いくつでもえぇわ。

「これが背負い投げで」

 あ、さすがに投げるまではせぇへんのか。

「一本背負いが……」

 カエの腕をつかんで、脇の下に腕を入れて持ち上げる。おぉ、けっこうちゃうやん。注意して見なわからんけど。

 カエはポンと手のひらを打って

「一本背負いのほうが勢いある!」

「いや、それはあんまり……」

「あれ? 違うの? そんな気がした」

 体験者は語る。

「エイ、お風呂入っといで。汗かいたろ」

「うん」

 お父さんによるエイトの柔道指南は終わりらしい。エイトはとてとてお風呂へと向かいました。

「にゃー、猫たん。うちらも柔道やってみよかー」

「にゃーぉ」

 嫌ですかそうですか。

 いや、うち別に猫語わかれへんで。ただな、本気で嫌そうな顔されただけやねん。なんで猫の表情わかんねんうち。

「にゃー。そこに居たのかー」

 にゃ? お父さんがニャー介(あ、本名ちゃうからな?)に気が付いた。

「押さえ込みだにゃー」

 柔道……お父さん、猫に普通に技かけたな……

「ぎにゃぁーぉ、うにゃぁあああ!」

 めっちゃ嫌がったはりますやん。

「にゃぁああああああああああ!」

 …………てぃ。

「うぉ?」

 お父さんの頭、おもっきしその辺に落ちてた紐で殴っちゃりました! でやぁ。

 ……あんま驚かんあたり、肝座ってんなこの人。

 よしよし、怖かったにゃ、痛かったにゃ。もう大丈夫やからにゃー……。

 恩を売るわけやないけど、ちょっともふもふしたい衝動。うぅ。

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