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7日 ビバすーぱー! うはー。

 おぉー。おぉおおおお!

 たこ焼き! 屋台出てる! でも何で匂い甘いんやろ……

 あれ?看板はたこ焼きちゃうやん、ベビーカステラ? え? ソースかかってるやん、鰹節乗ってるやん。え? 何コレ、食べてみたいなぁ……。

 なぁカエ、お母さん、買うてみよ、アレ。ほんで感想聞かせてぇや! うち買えへんねんぞ! 万引きなっちゃうし!

 ああ、あっさり通り過ぎてもた……うぅ、たこ焼きカステラ……ちゃんとたこの代用品入ってるんやろか、ソースみたいなノリで。うぅー……気になるー。

 カエちゃーん、もーっちょっと周り見てみー、美味しそうな甘ーい匂いがしてるやろー。女子中学生なら甘い香りにはふらふら~っと寄せられなアカンでー。ほんで、お母さんにねだるくらいやってのけなアカンでー。

 うぅ。

 はい、レイちゃんは今、カエとそのお母さんと一緒にスーパーに来ています。ほら、でっかいスーパーってあるやろ。総合スーパーって言うんやっけ。なんとなくついて来て見たー。久々やわぁ。

 お母さんは前に割っちゃったトーカのカップを探しに、カエはそのついでに明日のお昼のパンを買いに。バスケ部のカエは、明日どっか校外に練習試合行くんやって。そんな時はいっつもパン持ってくねん。

 エスカレーター前でカエとお母さんは分かれて、カエは食料品売り場へ、お母さんは食器売り場へ。うちどこ行こかなー。取り敢えず二階まではついて来て見たけど……。

 あ、あのワンピース可愛いなぁ。てか、試着してる子が可愛いわ。幼稚園くらいの女の子。ロリコンちゃうで、一応うち女やからな。学ランなんか着てるけど。我ながら似合うとる思うけど。

 んじゃ、うちは服見て行こ。二人が帰り始めたらうちもハンパない勢いで連れ戻されるから、置いて行かれることはないしな。

「ズボンお直しされますか?」

 ワンピース試着中の女の子の隣の試着室では、オバサンがズボンの試着中。足、みじか……何も言うてへんよ? 何も言うてへんよ、うん!

「あ、はぁ。お願いします」

 ていうか、この人、何か来てる服昭和っぽいなぁ……。丸メガネ……。一度カーテンを閉めてまた出てきた後、店員さんがズボンを受け取って畳んで。……服売ってるとこの店員さんて、畳むの早うて綺麗よなー。尊敬するわ。

「お持ちしますか?」

 え、何その敬語。自分持ってってくれるのん? おばさんが自分で持ってかなあかんのん?

「あ、はぁ」

 あ、通じるんや、これで。すごいな自分ら。テレパシー?

「…………」オバサン、無言。動かない。

「…………」店員、ズボンを軽く差し出してるように見えるけど、あまり動かない。

 …………ふりーぃず。

 ……伝わってへんやんけ!

 なんやのこの状況。なんでズボン差し出す店員と、体の前で手組んだオバハンとが対峙してフリーズっとんねん! 滑稽すぎるわ、現代版落語か!

 ふぅ。

 お疲れうち。誰にも聞こえへんのに、突っ込みお疲れ。あぁ、あのたこ焼きカステラ食べたいわぁ。糖は疲れた脳にエネルギー与えるとかなんとか言うしな。

 この二人どうしはるんやろ。このままずーっと固まっとくとか気まずすぎるで。……と、思ったところでオバサンが動いた! すっとズボンを受け取って、お直ししてくれはる所までてくてく。……謎の敬語の意味察したんやな。さすが年長者。

 すっきりしたところで、また見よっと!

 …………あかん。あのたこ焼きカステラが頭から離れへん。しかも、ドット柄の一つ一つがそれに見えてくるっていう徹底ぶり。もー無理、下行こ。せめてガン見して行こ。

 床をすり抜けて一回の屋台へ。

 あー……おいしそうやわぁ。もう匂いだけで幸せやわぁ。ふわぁ~

 匂いからして、ソースはチョコやろなぁ。鰹節、これ何なんやろ。めっちゃリアルやねんけど。あ、タコの代わりはナッツかぁ。

「そんで、いいのあったのん?」

「ううん、またデパートとかで探してみる」

 あ、カエ、お母さん!

 買い物は終わったらしくて、カエはパンの入ったエコバックを持ってる。

 気付いて! なんか面白いの売ってんで! 買ってこ! おやつコレにしよ! もうおやつにはだいぶ遅いけど!

「な、ねえ、お母さん、アレおいしそじゃない?」

「ベビーカステラ?」

「買ってこーよ」

 カエえらい! ってか天使! 買って行こう! 行こう!

「んー……ま、いいよ」

 っしゃぁい! 甘くてありがとぉお母さん! いつもやったら一蹴して通り過ぎるところやのにね! たこ焼きって形が良かったんかな? 別に大阪人とは違うかったけど。

 ほくほくたこ焼きカステラを十個買って、ほくほく顔のレイ乗せて、車はお家へと出発進行ー!

 そして、うちはナッツが好きくないトーカの分を一個、こっそりと口に含んだのです。



 甘い! うまい! ビバたこカステラ! 鰹節は本物やったんやね! リアルすぎる思たわ!

 たこ焼きカステラが食べられるところを見られるのもまずいし、幽霊は飲み込めへんから吐き出さなあかんってことで、お庭で食べています。

 庭先でうはうはしているレイちゃんのテンションは、このお家の猫ちゃんがちょっと警戒するレベル! うはー。

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