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第一章

 紅梅(こうはい)高校。そいつはそこにいた。

文武両道を目指す前向きな校長の下、地元でも有名な公立高校だ。


 校内の設備も整っていて校風もきれいなので、何も知らない中学生は皆ここに入りたがるだろう。

しかし、裏では「荒廃高校」と呼ばれるほどの不良校としても有名であった。





 「おい兄ちゃん。あんたいったい誰の許可を得て此処(屋上)で寝てんの?」


 「屋上は俺ら専用のたまり場なんですけど」


 「おい、なんとか言ったらどうなんだ」




 少年が一人チンピラに絡まれている。この高校ではよくある光景だ。

少年はチンピラに背中を蹴られているがなかなか起きる気配はない。




 「う~ん……」


 「ぷっ!マジで寝てんのこいつ?」


 「おい、目障りなんだよ!」



 なかなか起きない少年にチンピラはだんだんしびれを切らしてきた。



 「なぁ、こいつ殺ってもいいか?」


 「いいんじゃね?」


 「思いっきりいけよ?」



 チンピラはまるでサッカーのボールを蹴るかのように少年の腹部を蹴った。



 「ぐふっ!!ごほごほっ!!!!」


 「ぎゃはははははははははははは!!!!」



 少年が腹を抱えて悶絶するさまを見てチンピラ達は大笑いしている。

エグイ……実に俗悪だと思う。死神の私から見てもその様は気分を害した。



 「げほっ!げほっ!」


 「これに懲りたらもうここに来るんじゃねぇよ!」


 「おらさっさと行けよ。もう一発くらいたいのか?」


 「痛ぇ……」



 少年が立ち上がった。

その左手には銀色のブレスレットをしている。



 「俺を蹴ったやつはどいつだ?」


 「あ?」


 「俺だよ。俺がやった」


 「おまえか」


 「なんだよ。やんのか?」


 「三対一だぜ?お前自分の状況わかってんのか?」


 「御託はいいからかかってこいよゴミ虫やろう」



 そういい放った少年に少しだけ黒いオーラが見えた気がした。

なんというか…怒りのような一時的なものではなくて、もっと深いところでぐつぐつと煮えた冷たい激情のようなものが…



 「おい!この馬鹿殺るぞ!」


 「ふくろだ。殴り倒してやれ」


 「……(アレ?前に左手にシルバーアクセつけた奴に気をつけろって先輩が話してたような…)」


 「おい、いくぞ」


 「お、おう!(…そんなわけないか)」



 チンピラが少年を取り囲んだ。多対一の場合このような戦法を取るのは必然だろう。



 「死ねや!」


 「これ正当防衛だよな」


 「だったらどうした!?」



 正面から殴りかかってくるチンピラを前にしながら、少年は不適にも笑っていた。

そしてチンピラの顔面を思いっきり殴り飛ばした。



 「手加減なしでいいよなって事だよ」



 少年に殴り飛ばされたチンピラAは校舎の屋上のドアにぶつかり、そのまま地面に倒れた。

すさまじい、と言うより容赦ない一撃。

 少年はたった一撃で一人沈めただけでなくほかの2人も容赦なく攻撃した。

一人は鼻血を流し、一人は口の中をきったのか口から血を流していた。



 「ふぅ。雑魚がいきがってんじゃねぇよ」



 そういう少年の足元には先ほどのチンピラが横たわっている。死屍累々……



 「おい、なんか言うことは?」


 「………………」


 「…返事がない。ただの屍のようだ」



 少年は呟き、チンピラを端に片付けだ。

自分で屍を作っておいて自分で片付ける光景はあの世でも見ない。

 シュールだ。あの少年。



 「あ、いたいた。アニキーーーー」



 校舎から眼鏡をかけた少年が一人顔を出した。

あの少年の知り合いだろうか。


























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