序章 『』
ちょっと田舎の風景が残る町、紅梅町、俺はそこに住んでいる。
成績も身長も普通、別にたいして珍しくも無い存在なのだが、最近困った事に巻き込まれている。
困った事と言っても別に一人で対処できる程度のものなのだが、正直に言おう。
この紅梅町にてこの俺、斉藤 番(17)はこの年になり、俗に言う不良と言うものによく絡まれるようになりました。
非常に迷惑なことに、あいつらの殆どは話し合いが通ずるような相手ではないようで、ちょっと刺激したらすぐに殴りかかってくるやんちゃ者ばかりでした。
触るもの皆傷つける殺りたい盛りの思春期、いやもう盛りのついたサル。これ以上あの手の奴らを表現した言葉も無いだろう。
さて此処まで不良と言う存在を罵倒しておいていうのもなんなのだが、一般人から見れば俺も不良として見られているようだ。
世間体をここまで煩わしいと思った事は無い。
まぁもしかしたらこの理由は自分にあるのかも知れないが……
ひとつ心当たりあるんだよな。
多分、アレからだよな…
「で、こんな廃ビルまで俺を連れ込んで何をしようって言うんだ?」
「分かりきった事聞くなよ、兄ちゃん」
「いや、俺ホモじゃないからそういう感じの誘いは丁重にお断りさせて…」
「ちげーーーーよ!!俺らにもそんな趣味ないよ!!!」
「今から皆でお前と遊んでやろうってんだよ」
「弄ぶなんて、なんて破廉恥な!!!」
「だからちげーーーーって!!殺すぞ!!!」
面倒くさいな。今俺は6人の不良に囲まれて歩いている。
駅前で迷惑極まりない行為をしていたので「邪魔、消えろ地球上のゴミ」とついつい言ってしまった事をいまさらながらに後悔している。
まぁ、この展開は紛れもなく一戦交える事になるだろう。俺は近くの廃ビルの中に連れ込まれた。
廃ビル自体はずいぶん前から放置されてたが、こいつらのアジトになってたのか。
「ボス、生意気な奴を連れてきました」
「ほう……どんな奴だ。俺らに逆らうような奴がまだいたのか、褒美をくれてやらんとな」
廃材の上に座りこむ男がこちらに視線をやる。
まぁ、軽く挨拶。
「なんだ、帰してくれんのか?」
「帰すか!!状況みてもの言えや!!!」
「確かになめてやがんな。おい、お前。俺たちがこの辺仕切ってる近藤党のグループってわかって口をきいてんのか?」
「こんぺい党なんて知らねーよ。いきなり絡まれてこっちは迷惑してんだよ」
「おい、お前ら!!こいつ絞めろ!!」
俺の言葉に切れたか。廃材の上からリーダーが眺めていて回りは10人。
ふぅ、面倒くさい。
「はぁ。面倒くさいな…」
「だったら何もしなくていいぜ!!」
横から一人殴りかかってきたのを軽く避け、その横腹に一撃お見舞いしてやる。
横腹を殴られて地に転げて悶絶する仲間を見て周りの雰囲気が一変する。
「おい、なにしてんだよ。さっさと来いよ、うじ虫共」
俺の挑発に次々とチンピラが殴りかかってくる。
だが、そのほうが楽だ。
体外は一撃食らわしてやれば痛がって攻撃の手が止む。ただそこを狙えば殆どが二発殴っただけで倒れる。
向こうののが頭数が多いから鉄パイプのような武器は使えないしな。
使えば周りの奴を怪我させてしまいかねないからな。
「ぐわっ!!!」
「痛っっって!!」
そうこう言っているうちに10人片付いた。弱いな、弱すぎる。
「お前らこんな弱さでよく不良なんてやってられるな」
「そいつらはな。俺は違うぞ」
「御託はいらねぇんだよ。時間とらせんなよ、大将」
「口だけは立派だな。だが、そいつらを倒したくらいでいい気になるなよ」
「こんぺい党の大将はおしゃべりが好きだな。今すぐその口に砂ねじ込んでやりてぇよ。こんぺい党好きな甘党にはいい気付けになるぜw」
その言葉に親玉は動いた。単細胞な奴だな。
走りながら俺目掛けて繰り出される拳に俺は思いっきり自分の拳を打ち込んだ。
鈍い音が響く。
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
「おいおい、大の男がみっともないぜ?」
拳をおさえて痛みに耐える親玉は隙だらけだった。
俺はそのまま腹に一発入れてくの字に折れ、顔面ががら空きになった親玉を殴り飛ばした。
その間約11秒。
親玉ですらたった3発しか入れてない。弱すぎ。
「なんだよ。アレだけすごんでおいてこの程度かよ」
俺はそういってその日はもう帰った。
多分アレからだ。俺が学校内で不良に絡まれるようになったの。