夢
『夢はありますか』
『…夢って、必要ですか。どうせ叶わないものを作ることが、重要ですか』
『…叶う叶わないは、本質的には重要じゃないんですよ』
『じゃあ、なんなんですか』
『夢っていうのはね。ワクワクなんだ。未来への期待なんだよ』
『期待する意味ありますか?』
『もちろん』
『…僕は教育を受けてきました。社会が汚いことを学びました。現実を学びました。戦争を学びました。数学、英語、理科、国語、社会を学びました』
『自分が特別じゃないことを学びました。イタイことを学びました』
『期待を持てないようにしたのは誰ですか?夢を持てないようにしたのは誰ですか?
それは、僕なんですか?』
『……』
『僕は、何も書けませんでした。特に期待しません。成り行きで生活できればいいと思っています』
『…趣味はあるかな』
『あります。料理が好きです』
『どんなところが好きなのかな』
『…考えたことありませんでしたね』
『…凝るのが好きなんだと思います。やらなくても十分美味しいけど、やったらもっと美味しくなる。みたいな』
『夢も、同じようなものだと思うよ』
『………黙れ!!!』
『比べることなんて出来ないだろ!比較することすらお門違いだ!お前らは毎回そうだ!変に理屈を捏ねて、本題から遠ざける!』
『……ごめん』
『夢の話をしてるんだろ?!趣味だの小さな幸せだの!そんな話ししてないだろ!』
『夢を持たなくたっていいだろ!別に今が幸せじゃないなんて言ってないんだ!僕には必要がない!それだけだろ!』
『夢がないからなんだ!期待出来ないからなんだ!お前らの汚い同情なんて要らないんだよ!』
『…………』
『…もう、いいですか』
『……ごめん』
『謝らなくていいです。……こちらこそごめんなさい。先生は悪くないのに』
『…帰ります。僕のことは気にしないでください』
『あのさ』
『はい』
『一番好きな料理ってなにかな』
『…決められません。気分によって変わるので』
夢の話を書こうとしたら、いつの間にかこんなものになってました。
読んでくれてありがとう。




