06 村人の感想(その2・双子のアスとヴィ)
アスとヴィはこの村で生まれていない。
お母さんと一緒にこの村に逃げてきたけど、すぐに死んでしまった。
森の中の魔物からアスとヴィを庇ったせい。
村の人たちはアスとヴィを追い出したりはしなかったけど、優しくもなかった。
ここでは自分たちのことだけで精いっぱいで、ほかの人に気を遣う余裕がなかったんだと思う。
それでも生きていける程度に面倒を見てくれていたことを感謝していた。
ギリギリの生活、そこに新しい村人がこの村来た。
取れる食材の量を考えても、新しい人間が来たら、だれかしらが飢えてしまう。
だからアスとヴィは反対だった。
だけど、こちらが何か行動を起こすより早く知らない屋敷に連れていかれてしまった。
アスとヴィは同じ部屋に案内された。
お母さんと暮らしていたころのおうちよりずっときれいで広かった。
ベッドも大きくて、二人で寝ても広くってもしかしたら、あの村のおうちよりベッドのほうが大きいかもしれない。
「おふろ、こわかったね」
「前のおうちの近くにあった湖みたいな大きさだったね」
泳げるほどの広さのあるお風呂はアスとヴィには驚きより恐怖だった。溺れてしまうのではないかという恐怖が先行してあまり入浴は楽しめなかったけど、体を洗う時にアワアワになったのは楽しかった。
食事もお母さんが作ってくれた料理に似たものもあったし、それよりもおいしいと思ってしまう料理もあった。
手伝いたいとお願いすると、サニーさんは快く料理を教えてくれた。
お勉強といわれて、なんとなくいやだなと思ってしまったけど文字や計算を覚えてくるとたくさんのお料理レシピもわかるようになった。
作ってみたい料理があるといればサニーさんは一緒に作ってくれる。難しくてわからない部分はわかるまで何度でも教えてくれる。
ほかの村人もいるのに、アスとヴィに付きっ切りのことも多くて大丈夫なのか少し不安だけど、サニーさんは気にしなくていいと言ってくれる。
なんだかサニーさんはお姉さんみたいだった。
アスとヴィにお姉さんができたみたいで、この屋敷での生活も楽しくなってきた。
でも……この屋敷から村に戻ったらサニーさんはあのお姫様みたいな人の元に戻っちゃうのかな。
そうなったら、寂しいな。




