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大罪の魔女の悠々自適な追放生活  作者: 大熊猫ノ助


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15/17

15 土地が無ければ魔法で拡張すればいいんですわ

森の開拓ではなく土地を確保しなくてはいけない。インサニア、困っていますわ。

「森がだめなら、谷を埋め立ててはいかがですか?」

「どっから土を持ってきますの?」

「対岸とか」

サニーの提案にため息がこぼれる。まぁ、彼女の思考はわたくしをベースなので大体同じことを考えることになりますが、わたくしより一般人に近い思想を積んでいますのよ。

けれども、わたくし以上に無茶なことを言い出すこともあるんですわねぇ。

「川幅を考えたらとんでもない日数、工程がかかりますわよ。

もーっと手軽に……ビニールハウス、いえここにはビニール無いのでガラスハウスですわね。

作りましょう。確か何件か家を片づけましたもの、多少の土地は空いていますわね」

村人に対して家の数が多かったのは、家主がなくなった後も家を壊すことが無かったようですわね。

今回の整地で不要だった家は撤去していますので、少し土地が余っていますわ。

一部は食物庫として確保していますが、ほかにも空いている土地にガラスハウスを作って植物を育てればいいんですわ。

「でも、結局それほど大きな土地ではありませんよ」

「わたくしには魔法がありますわ」

問題はわたくしが拡張と時間操作を組み合わせた建物を作った後の維持。

定期的に魔力を提供しなければ維持できない為、わたくしがいなくなったら使えなくなってしまう。

永続的にということを考えたら外部からの魔力供給として魔石を使う方法もあるが、それは魔石を手に入れる手間が発生してしまうわ。

「えーっと……サニー、図書室に瘴気についてまとめた本がありましたわよね」

「確かヴィア様が今読んでいたはずですよ」

「ならちょうどいいですわね、ヴィア様にも手伝っていただきましょう」

読書中だったヴィア様を捕まえて谷へ向かう。道中で何をしたいのかを伝えると呆れた顔をされましたわ。


やりたいことは谷から水をくみ上げ、その水をガラスハウスで育成する植物に利用する。

その際、水とともに引き上げた瘴気を魔力へ変換し建物内の空間拡張と育成のための温度管理と時間操作を行おうというもの。


「サニア…それはさすがにやりすぎでは?

天候操作に時間操作、空間操作なんて神に喧嘩を売っているのかね」

「まぁ、喧嘩売った扱いで追放されましたので今更でしてよ」

追放とはいえ、ヴィア様はどうやら教会との連絡は取りあっているようですわね。

わたくしのやらかしを一応報告しているようですわ。たまに家から奇声が漏れていますもの。

そういえば、あの子は元気でやっていますかしら。

そろそろわたくしから連絡と入れても大丈夫かしら?あとで話しかけてみようかしら。

「それもそうだったな。しかし、もう少し賢く立ち回れば今頃大賢者として国から迎えられていただろうに」

確かに大臣にそのような話はされましたわね。そうすることで第三王子も立場を強くすることができるなんて力説していましたわね。

「そんなことしたら国益になることしかできなくなってしまいますわ。わたくしはやりたいことしかやりたくありませんのよ。

大体政治的な力関係にかかわるのも面倒くさいですわ。

そもそもわたくしを「使おう」なんて考えがおこがましいんですわ。

大体わたくし程度が思いつく事、賢者を名乗る方々が寄ってたかって思いつかない方が可笑しいんですわ」

「手厳しいな」

まぁ、前世の記憶があるからこの世界の人と発想がまず違うので、わたくしの当たり前はここではあたりまではないんですのよね。

それは承知していますが、うるさい賢者(仮)には全員同じことを言って心をへし折ってきましたわ。

あー…でも、彼とお話しできなくなったのは残念でしたわね。

「さてと、では水をくみ上げて流す仕組みを作りましょう。

くみ上げのポンプは自動化して、一部はため池に、そこからガラスハウスへ流れるようにすればいいですわね。

庭の水やりなどはここのため息の水を使ってもらってらいましょう。井戸の水をくみ上げるより楽ですわ」

「お嬢様、噴水を作りたいっておっしゃっていませんでしたか?」

「ああ、村の中心に噴水あるのなんかいいですわよね。あとで村長に許可を取ってまいりましょう」

うーん、箱庭づくりって楽しいので、このくらいの小さい村はちょうどいい規模ですのよねー。

「それで、わたしは何をしたらいいんだ」

「ええっと、ヴィア様にはビックバンブーを何本か用意していただきたいんですわ。先日森の中で群生地を見つけたとおっしゃっていましたわよね?」

ビックバンブー、その名の通り大きな竹。筒の直径が5mにもなるという大きさで、タケノコも最初から大きく、あまりおいしくないんですのよね。

長さもそれなりにあるので、何本かつなげれば崖下から水をくみ上げることもできそうですわね。

「それは構わないが、どのくらい距離があるかわかっているのかな?」

最悪つなぎ合わせて届かなければ成長させて無理やり長さを伸ばすまでですわ。

「分からないので適当にでいいですわ。とってきていただければこちらで加工してどうにかいたします」

「全部魔法で作ったらいいんじゃないのかね」

「すべてをわたくしの魔法で作ったら、わたくしが死んだ場合も維持されるかわかりませんのよ」

とりあえず材料は実際に用意して作成の工程を魔法で飛ばすことはしますが、全部魔法で物を作った場合、その後にどうなるのかは検証できていませんのよね。

テストのためにわたくしが死ぬわけにもいきませんもの。

王国には数代前の王の結解魔法がかかっているというが、それが本当かも怪しい。

それに王族という血筋での特殊魔法の可能性もあるので、死後も魔法が維持できるかどうかを王族の魔法を参考にするわけにもいかない。

「家とかはいいんですか?」

「村人はわたくしより先に逝くでしょうからいいんですわ。どうせわたくしが死ぬ頃には、村には誰もいません事よ」

「そんな寂しい事いわないでくれ…ともいえないな。わたしも君より先に死んでしまうだろうからね」

ヴィア様もそれなりにお年ですものね。仕方ありませんわ。

「とりあえず、ジョンとともにバンブーを取ってくるとしよう。2、3日猶予を貰えるかな」

「ええ、それまでに建物を用意しておきますわ」

ヴィア様に竹は任せて、わたくしは建物を作成していく。といっても箱庭で建物を作ってこちらに持ってきて設置するだけですわ。

現実世界で魔法を使って作ることもできますが、箱庭の中で作ったほうがスムーズに作れますのよ。なんででしょうね?

ガラスハウスを設置してから村長に報告に行くと目を回して倒れてしまいましたわ。

建物が一瞬で設置されるなんて今更だと思うのですが、まだ慣れていませんのね。

なんとか意識を取り戻した村長に設置と、噴水の作成を認めさせましたわ。ふふ、冬には小さなスケートリンクとして遊べるようにするつもりですわ。

そういえばこの辺の冬ってどのくらい寒いのかしら?ちょっと不安ですわね。

まぁ、このガラスハウスのおかげで食材は確保できそうですので、冬季飢える心配が無いので安心ですわねー。

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