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大罪の魔女の悠々自適な追放生活  作者: 大熊猫ノ助


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12 この地に神がいない理由

おーっほっほっほ、いい天気ですわね。

本日はこの村の畑にお邪魔していますわ。Tシャツ、オーバーオール、長靴、軍手、麦わら帽子。

畑スタイルで決めたインサニアでございます。


「そういうのが王都では流行ってたのかい?」

のんびりとした空気を持つ男性、サム。40代ほどで独身。

結婚経験はあるが、お嫁さんは村の生活に嫌気がさして街を目指すと出て行ってしまって早十数年。

村で一番畑づくりがうまく、神から見捨てられた地という割にはきちんと農作物を育てていたすごい方ですわ。

今日はそんなサムの畑を見せてもらいに来ましたのよ。

一応村を整地する際に畑をつぶすことはしませんでしたので、そろそろ収穫物が育ったころではないかしら?

「インサニアさん、あなた整地の際に畑に何かしましたか?」

「いいえ。畑には手を加えていませんわよ。でも畑のそばにいたモノと友達になりましたのよ」

「ドリューの事ですね」

彼の言うドリューとは土の中にいる動物のモグラの事だ。畑仕事をしているときそばにいるそうで、良く話しかけていたらしいですわ。

「ええ、ドリューさんと最初殴り合いになりましいたけど、今ではいい友達ですのよ」

「えええ……あんなかわいいドリューを殴ったんですか?」

ドン引きするサム。ですが、アレはかわいいなんてもんじゃありませんわ。

どうやらサムの前では小さくてかわいいモグラのふりしているようですけれど、わたくしの前に現れた時は地面から出てきて仁王立ちしていましたのよ?

しかも2mを優に超えているサイズ。

大きな手のひらから繰り出される張り手は衝撃波を放つんですのよ。

化け物ですわよ、あんなの。


まぁ、化け物ではなく精霊なんですけども。


土の精霊、ドリューはこの村のいわゆる守り神として存在している精霊でしたわ。

道理で大した柵もないのに村の敷地に魔物が押し寄せてこないわけですわ。

ただ、ドリュー自身が今更「神」扱いされたくない。

よき隣人としてこの村に住むことを望んでいるのが殴り合いの際にわかったので、わたくしはドリューのことを詳しく村人に伝えることはやめましたの。

ふふん、わたくしってば気遣いができる淑女でしてよ。

黙っている代わりに、時々箱庭の方で作っている畑を見てもらって意見を貰うことで協力関係が成立していますのよ。


「それで、今日はこの畑で作ってほしいものがあるそうですね」

「ええ、ソバとサツマイモを育ててくださいな」

麦、トウモロコシは育ててる。他に大根のような根菜と、ほうれん草のような葉物野菜。

わたくしとしては少しづつ育てる作物の種類を増やしていただきたいのですわ。

食も文化、わたくしは食事も娯楽として楽しめるようにしていきたいのですわ。

まぁ箱庭に行けばいくらでも食べれるんですけれども、あくまでこの村でも発展してほしいのですわ。

ソバは蕎麦として食べてもいいですし、雑炊…ああ、ガレットとしてもおいしいですわよね。

サツマイモはそのままでもおいしいですし、お菓子にも向いていますし、日持ちもしますわ。ああ、この世界のサツマイモはそんなに甘くなかったので、箱庭の一室で研究をして前世に近いものを生み出しましたわ。

錬金術って素晴らしい文化ですわね。

「とりあえず食べ物ってことですよね」

「ええ、とりあえずおいしいから育ててくださいな。できたら料理方法も教えますわ。

近いうちに森の一部を開拓してもう少し畑を広げようかとも思っていますわ。他にも農業が得意そうな方がいたら声を掛けておいてくださいませ」

「それは……まぁ、はい。でも森を開拓は無理ですよ。

下手に開拓なんてしたら村を魔物が襲ってきますよ」

確かに森の生き物たちの住処を奪うのもよろしくありませんわね。

「開拓はいったんやめますわ。でもどうにか畑を増やしたいですわね……皆様の家潰しましょうか」

「やめてくださいよ!せっかくインサニアさんが建てたんじゃないですか!

この家気に入っているんですから、追い出さないでください!」

「冗談ですわよ。それでは引き続き畑仕事頑張ってくださいな。

ドリューさん、これからもサムのお手伝いお願いしますわね」

そういってドリューに森の方から掘り出してきたビックミミズをあげたのですが、サムが腰を抜かしてしまいましたわ。

ドリューが好きだっていうから持ってきましたのに。

ちなみにビックミミズはその名の通り、成人男性並みの太さ、3mほどの長さがあるが性格は温厚で基本地面からは出てこないので冒険者や村人が見かけるのは稀な虫ですのよ。

本来サイズのドリューからするとご馳走だけど、今のサイズのドリューは何か逆に食べられそうになっていましたわね。ごめんあそばせ。


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