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君たちはワルイコです  作者: H.R
1回目の話し合い
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番外編(ココロのノート) 坂上 奈美・光橋 光

「いい加減泣きやめ!うるさいんだよ!」

「ごめんなさい、ごめんなさい。」


今日もまた、お母さんにたくさん殴られる。


私の名前は奈美。今日は6歳の誕生日、お母さんは祝って…くれるわけもなく、いつものように殴られ蹴られの繰り返しだ。

お父さんは誰かも分からない。私が産まれる前に別れたらしい。お母さんが言うからには私が悪いんだって。


「なんのために生きてるんだろうな。」



近所の公園に行くとツルツルしたカバンを背負ってる子供が遊んでいた。お母さんが言うからには小学生と言って、小学校に通って勉強してるらしい。


「お前はバカだから私の手伝いだけしとけ、変な夢は見るなよ?」

「うん。私、小学校なんか行かないよ。」


7歳になった時、家に変な男の人が2人来た。その2人はお母さんを連れて行ってしまった。


「このあとすぐに君を助けてくれる人が来るから待っててね。」


私を助けてくれる人?そんな人いない。私は戸棚に入っているお母さんの貯金10000円を持って駅という所に向かった。

どこに行けばいいかなんか分からない。周りの人の見様見真似で横に長い乗り物に乗り、この場所を離れた。



気がつくと、私はy県というところに着いていた。すると…


「ママ…早く戻ってきてよ…」


私と同い年くらいの女の子が泣いていた。


「ねぇ、大丈夫?」

「だ、誰…?」

「私ね、なみって言うの。1人になっちゃったから横に長い乗り物に乗ってここまで来たんだ。」

「そうなんだ…。私も…多分ママに捨てられちゃった…」

「名前はなんて言うの?」

「ひかりって名前だよ。」

「一緒に過ごさない?私、あなたとなら幸せになれそうなの。」

「私ももう独りぼっちだし…、いいよ。」

「ありがとう。今日から友達ね!」

「うん!」


それからの日々は、お母さんに殴られる日々に比べてとても幸せだった。近所の公園のベンチに座って居ると、男の人が話しかけてくれる。そして服を脱ぐだけで沢山のお金をくれる。だから食べ物には全く困らなかった。



何年経ったか分からない。ある日私たちと同じくらいの身長の女の人が話しかけてきた。


「ねぇ、あなた達。」

「なんですか?あなたも裸を見たいんですか?」

「かわいそうね。そうしないと生活もできないなんて…」

「バカにしないでください!私たちは幸せなんです!」

「そうです!ご飯も1日2食取れて、お風呂にも入れる。もう殴られることもないんです。」

「なるほど…ね。君たち、今日から私の家族ね。」

「え?」

「なんでですか?」


女の人は言った。


「君たちはもっと幸せを知った方がいい」


と…。



女の人の家に連れられると、お風呂に入らされた。その後はご飯を食べさせてくれ、髪の毛も整えてくれた。


「その、ありがとうございます。」

「気にしないでね。」


ふと、左に目をやると血まみれの袋が置いてあった。


「あの…、あの袋ってなんですか?」


女の人は笑顔のまま答える。


「気にしないでね。」




次の日、女の人はお薬をくれた。


「君たち可哀想だから、このお薬あげるね。」

「なんの薬なんですか?」

「飲んだら幸せになれる薬だよ。」


私たちは女の人に言われるがまま飲んでみた。意識が朦朧とするしうまく立つことが出来ない。でも、初めて感じるものがあった。凄く気分がいい。


「これが、あなたが言ってた幸せなの?」

「そうだよ。凄く気分がいいでしょ?」

「うん!ありがとうお姉さん!」


それからはご飯もお風呂も寝床もお姉さんが提供してくれて、薬も飲めて、とても幸せな日々だった。


「ねえひかりちゃん?」

「なに、なみちゃん。」

「私たち、すごく幸せだね。」

「そうだね。」



しばらく経ったある日、お姉さんは急に服を2着買ってきた。


「君たち2人は明日から私と同じ高校に通うことになったから、これ着てってね。」

「高校って何?」

「学校だよ。勉強するところ。」

「勉強できるかな…」

「分からないところは、私が教えるから。」

「わかった!」


高校という所に行くことになったらしい。


「あ、そうそう。君の苗字は坂上で、君は光橋ね。」

「苗字?」

「名前の前に着く言葉みたいなものだよ。」

「わかった!」


でも、入学式という日の次の日、事件は起こった。



「ごめんね2人とも。やっぱり行かないで。」

「なんで?」

「ちょっと色々あってね。楽しみにしてたのにごめんね。」

「ううん。全然大丈夫だよ。それよりお薬は?」

「はい、飲みな。」

「ありがとう。」

……………………………………………………………………


今日はお姉さんの学校で学園祭というものがあるらしくて、高校に行くことになった。

久しぶりの高校は色んな教室でお店をやっていた。ひかりちゃんと歩いていると後ろから見覚えのある女の子が歩いてきた。


「ねぇねぇ、ちょっと来て。」

「なに?」


私たちは女の子について行く。


「ちょっとこの教室で待ってて。」

「わかった。」


私たちは話しながら教室で待つ。すると1人の男の人が入ってきた。


「こんにちは」

「…」


男の人は何も喋らなかった。そしてひかりちゃんの頭を殴り、私の頭も…




気がつくと人が沢山いる教室に居た。頭は痛むし、何が何だか分からないけど私はひかりちゃんと一緒に端っこに座る。


「ねぇ、あの人とあの人見たことない?」

「ある気がするけど、忘れちゃった。」

「私もなんだよね。」

「お姉さんの顔も思い出せなくて…」

「私もだよ…。あんなに優しいお姉さんの事忘れたくないのに…」

……………………………………………………………………



デスゲームというものが始まってしばらく経った時…


キンコンカンコン


「死人が現れました。死人が現れました。」


誰かが死んだらしい。私はひかりちゃんと一緒にトイレに向かう。



トイレに着くと仮面を被った人がいた。


「あなたは誰?」

「…」

「誰なの?」


私たちの応答に応えずに、仮面を被った人は、


「お前らは私の操り人形だ。お前らは私の操り人形だ。お前らは私の操り人形だ。」


何を言ってるんだろう。


「私たちが操り人形?そんなわけな……」


ひかりちゃんが倒れてしまった。


「あなた!ひかりちゃんに何をしたの!」

「お前らは私の操り人形だ。お前らは私の操り人形だ。お前らは私の操り人形だ。」

「いい加減にしろ!ひかりちゃんを……」






意識を失っていたらしい。次に意識を取り戻すと、視界がとても低く、とても寒く……私は………死ん…………で………………

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