第2話前編 探偵登場
鳴が沙奈枝さんを片付けているのを眺めていると、部屋の外が騒がしくなっていた。みんな放送を聞いて焦っているのだろう。たった1人、鳴を除いて。
「な、なる?」
「なあに?しずちゃん?」
「色々聞きたいことがあるんだけど…」
「んー。まあ、いいよ!聞いてあげよう!」
「ありがとう。」
私は色々気になっていたことを鳴に聞く。
「その、さなえさんの秘密って何だったんだ?ケータイに届いたんだろ?教えてくれないか…」
「しょうがないなー。悲しくなっても知らないよ?」
「…覚悟は……出来てる…。」
「ふーん。」
その声の後に鳴は沙奈枝さんの秘密を読み上げた。その内容はとても信じられるようなことではなかった。
「古家 沙奈枝。高校3年生。女。生徒会長をしており、生徒皆から尊敬されている人物だが、彼女はかなり酷い殺人鬼である。親友の絶望顔が大好きであり、今まで10人もの親友を殺してきた。高校生になり絶望顔が好きな癖を頑張って抑えていたが、このような状況では我慢できなかったのであろう。とても反省してるようには見えません。」
「……」
信じられない。沙奈枝さんが殺人鬼…。それにこの文章、恐らく私が襲われた後に書かれてる。つまりカレンは常に見張ってるって事なのか。というか、今思い出したが、他人の秘密を口にすると死ぬんじゃなかったのか…。色々考えてると鳴が話しかけてくる。
「もう聞かないでいいの?」
「あ、じゃあ、なんでなるはこの部屋にいたんだ?」
鳴は答える。
「今日の朝、私とあいつ、二人で話してたでしょ?」
「うん…。」
「その時に脅されてねー。ムカついたからお茶会邪魔しようと思って!」
「……」
思えば、鳴はこんなやつだった。でも実際そのおかげで助かっているのだから文句は言えない。
「ていうかしずちゃん!そろそろ部屋から出ないと…怪しまれるかもよ?」
妙に口調が強かった。私は圧に押され渋々部屋を出る。部屋を出ると目の前には騒がしいみんながいた。
「しずちゃん!無事だったんすね!ほんとに良かった…。」
「パイセン無事じゃーん!うれしー!」
みんなから話しかけられて頭がいっぱいいっぱいになる。
「残るは会長だけか。まあ、ってことは死んだのは会長だろうな。」
弥江子さんがそう言うと様々な声が行き渡る。
「え?会長さんが…」
「あんなに優しかったのに」
「誰がこんなことを」
胸が苦しくなる。真実が言えないというのはこんなにも苦しいことなのか。そんなことを思っていると弥江子さんに話しかけられる。
「お前。何か知ってるだろ。顔色悪いぞ。」
心臓の鼓動が早くなる。鋭い。話をそらさないと。そんなことを思いながら戸惑っていると、
「私知ってるけど。」
鳴がその場を制した。弥江子さんの注意が鳴に向く。
「話せ。何があったんだ。」
「なんであんたみたいな不良に話さなきゃいけないの?」
「ちっ」
舌打ちをすると弥江子さんは大声でカレンを呼んだ。
「おいカレン聞け。話し合いをするから来い。」
すると目の前の何も無いところからカレンは現れた。
「分かりました。今から話し合いをはじめます。みなさん、最初に居た教室に集合してください。」
「逆らったら?」
「殺します。」
みんなは教室に移動し始める。私は最後に移動しようとその場に立っていると、弥江子さんが話しかけてきた。
「トイレに行くから着いてこい。」
「え?」
半ば強制的に弥江子さんに連れられトイレにやって来た。
「お前、なるとか言うやつになんか脅されてるだろ?」
「なっ…なんで……」
「はぁ…。1度しか言わない。俺は探偵だ。そんくらいのことなら顔色ひとつですぐ分かる。」
「そう…なんだ。」
「まあ、何が言いたいかって言うとな、お前、俺の助手になれ。断ったら殺すけどな。」
「でも、私なんか何の役にも立てないよ。あの時だって……あっ」
「ふん。口を滑らしたな。聞かせてもらおうか。」
バレてしまったし、断っても殺されそうなので仕方がなく私はさっきあった出来事を全て話した。
「…なるほどな。」
「それで、さなえさんの秘密は…」
「おい。」
話を止められた。
「な、なんですか。」
「お前。秘密話したら死ぬぞ。」
「で、でもなるは普通に話せてて…」
「なんでかは知らんがやめとけ。死にたくはないだろ。」
「…わかりました。」
「まあいい、俺がなるとか言うやつを追放してやろう。」
「は、はい…」
本当にいいのだろうか。分からない。もう何も考えられない。先程の出来事が起こってから何を信じればいいかが分からなくなっている。
「早く行くぞ。怪しまれる。」
「わかりました…。」
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教室に着くとみんな黙って座っていた。恐らくみんな状況が分からないのだろう。席に座るとカレンが話し始めた。
「みなさん。これから話し合いを始めます。特にルールは設けません。追放者を出すか出さないか決めてください。」
訳が分からないまま話し合いが始まろうとしている。私は鳴を信じればいいのか、弥江子さんを信じればいいのか。そんなことを考えながら話し合いが始まった。
「では、話し合い開始です!」




