番外編(ココロのノート) 石上 百合
私は生まれた時から不幸だった。親ガチャは大ハズレ。小さい頃から暴力を受ける毎日。小学生になるころには、父親から性暴力を受けてきた。私はこんな世界に夢も希望も抱いていなかった。
でもそんな時…ひとつの漫画に出会った。その漫画はクズを殺すヒーローの物語だった。私はこの漫画の主人公に憧れて、両親を殺した。私は正義のヒーローになることが出来た。そして私にひとつの夢ができた。
「私もあの漫画みたいに、誰かに行動する勇気を与えられる漫画を描きたい。」
私はとある団体に拾われて育てられることになった。でも、その団体での毎日は退屈で仕方がなかった。この団体には、犯罪を犯した子供が集められていて、体力や知力など、犯罪を犯すために必要な能力を育てられる。
「漫画を描くのにこんな能力いらない。」
呆れた私は団体から抜け出し、1人で暮らしていくことにした。
まずは家を探すところからだ。
「あの家、大学生の一人暮らしか。」
私は深夜に忍び込み、住民の大学生を撲殺した。別に今更なんとも思わない。もう殺すのは3人目だし。
「あの団体での訓練も意外と役立つもんだな」
そう思いながら死体を処理し、漫画を描きながら学校に通う生活を始めた。
中学1年生の時、芝谷 向日葵という子と友達になった。きっかけは私の漫画を気に入ってくれたことだった。
でも…、アイディアが思いつかなくなってきた。
「嫌だ。私はみんなに影響を与えられる漫画を描くんだ……。でも…それって……」
ひとつの案が頭に浮かぶ。すごく手軽で簡単な方法が…
「自分で誰かを殺して、実体験を漫画に描けばいいんだ。手始めに…ひまわりを殺すか。」
私は向日葵を殺した。方法は手で首を絞めて殺す扼殺。だんだんと焦る向日葵の顔と、手に伝わってくる頑張って呼吸をしようとして動く喉。手が疼く。
「はやく、はやく漫画に描きたい。」
私はとある女の子が友達に殺される漫画を描いた。SNSでも評価がそこそこ良く、リアリティがあると言われて嬉しくなった。
「もっと殺してもっと漫画を描こう。」
その後何人殺したかは覚えてない。3股していた男を刺殺したり、壊滅寸前の宗教団体の残りの信者を薬で大量に殺したり。思い出すだけでも大変だ。
そうして私は殺して描いてを繰り返した。そして…
「やった!賞を取った!」
SNSで投稿した作品がバズり、賞を獲得することが出来た。内容は、デスゲームで殺されそうになった少女が1人の少女を何回も刺し、背後から殺されるというもの。
「殺人は素晴らしい。心に快楽を与えてくれる。これからも私は素晴らしい漫画を描き続ける。」
そう思っていたのに……
「ここは…?」
気がつくと変な教室にいた。文化祭の合間に空き教室で漫画を描いていたはずなのに…
「攫われたということは、デスゲームでも始まるのかな。楽しみだ。」
私は沢山人を殺せると思ってワクワクしていた。でも、古家 沙奈枝。あいつのせいでペースが崩れた。
「まあ、私と同類みたいなもんか。快楽殺人犯だもんな。」
そんなことを考えながら漫画の案を考える。
…ひとつ思いついた。
「死体工作とか……おもしろそうだな。」
都合よく死んでるやつがいた。そして、都合よく私の能力は半幽霊。
「今しかないな。」
私は刺してあった3本の包丁に加えて、2本追加で刺した。そして右目をくり抜き、手足の爪を剥がした。
「楽しいなぁ。またいい作品が描けそうだ。」
私は漫画を描きあげた。でも…ここにいるままじゃ投稿することができない。早くここから出ないと。でも、もう1つ案が思いついてしまった。
「終了者になって、即自殺する。これも最高じゃないか!」
でもこの案にはひとつ欠点があった。私が死んでしまうことだ。別にこの世界に興味は無いし死ぬことは全く怖くない。でも、漫画に残すことができない。
「どうしたものか…。そういえば…」
私はひとつ宛が思いついた。こいつなら説得すればやってくれるし、できるはずだ。
「なあ、私の死に様を漫画に残して、ここを出たら投稿してくれないか?」
「いいですよ…。あなたには感謝してるんです。さなえと違って、役立ってくれる快楽殺人犯ですよ。」
「やっぱりあなたが黒幕ですよね。頼みましたよ。」
「もちろんですよ。」
漫画のことを託すことが出来た。これで、もう思い残すことは無い。
そして3回戦が始まった。能力は…終了者!
私は手に持っていた包丁をお腹に突き刺した。
「すごく楽しい人生だった!こんなんになるなら、あの両親にも、あの団体にも感謝だな!」
そんな事を思いながら自分の体から力が抜けていくのを感じる。
ハハハハハハハハハハ…ハハハハハ………ハハハ……ハハ……………ハ……




