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君たちはワルイコです  作者: H.R
日常パート
3/47

第1話中編 楽しい時間

目を覚ますと朝食が置いてあった。


「もう朝なのか…」


個室には窓と時計が無いため時間がよく分からない。

……………………………………………………………………


朝食を食べ終わったので時間を確認するために部屋から出た。時計を見ると時刻は9時だった。


「ちょっと寝過ぎちゃったな。」


独り言を呟いていると後ろから誰かに話しかけられた。


「しずさん。おはようございます。」


沙奈枝さんだ。


「さなえさん。おはようございます。」

「元気そうでよかったわ。」

「相変わらず状況は掴めませんけどね…」

「そうね…」


沙奈枝さんと立ち話をしていると向こうから鳴が走ってきた。


「しずちゃんおはよう!」

「なるか、おはよう。」


すると鳴は急に沙奈枝さんを睨みはじめた。


「私のしずちゃん取らないでくれる?」

「ちょっとなる。さなえさんは挨拶をしに来てくれただけなんだ。そんな風に言わないでくれ。」

「しずさん、大丈夫ですよ。なるさん、ちょっとこっちに来てくれるかしら?」

「なに?」


鳴と沙奈枝さんは少し離れたところで話し始めた。

……………………………………………………………………


数分後、沙奈枝さんは部屋の方に戻って行き、鳴はこっちに近ずいてきた。


「なる。何を話してたんだ?」

「しずちゃんは私の事放っておいてあいつと話してたから教えなーい。」

「あいつなんて言わないでくれ。さなえさんはいい人なんだ。」

「…。…しずちゃん、探索しよ!」

「急だな。まあ、分かった。」


鳴と一緒に図書室に向かって行く。ふと鳴の顔を見ると誰かに怒っているようだった。沙奈枝さんに何か言われたのかな。心の中で思いながら図書室まで歩いていった。

……………………………………………………………………


図書室に入ると白井さんと黒井さんがいた。


「しろいさん。くろいさん。おはようございます。」

「…ああ。」

「…おはよう。」

「しずちゃん!こんな2人置いといて探索に戻ろうよ!」

「なる。もう少し話をさせてくれ。」

「…。わかったよ。あと1分ね!」

「しろいさんとくろいさんはどんな関係なんですか?」

「…それを言って何になるんだ。」

「…話す気は無いと言ったはずだ。」


2人に言われてしまい仕方がないので鳴と図書室を後にする。ふと振り返ると、白井さんと黒井さんが何かを話していた。しかし声は聞こえなかったので気にせずに保健室に向かって行った。

……………………………………………………………………


保健室に着くと菜緒さんと瀬羅さんが話をしていた。


「大丈夫っすか?」

「なんとかな。」

「せらは無理しすぎるところがあるから心配なんっすよね…」

「気にするな。いつも言ってるだろ。」

「そうっすけど…。」


すると菜緒さんがこちらに気づいた。


「しずちゃんじゃないっすか!おはようっす!」

「なおさん。おはようございます。せらさんも、おはようございます。」

「おはよう。」

「しずちゃんも探索っすか?」

「ああ。なると一緒に探索していたんだ。」

「なるちゃんっすか?でもいないっすよ。」

「え?」


菜緒さんに言われて後ろを振り返る。菜緒さんの言う通り、鳴はいなかった。


「どこに行ったんだろう。まあ、なるのことだ。その辺を歩いているんだろう。」

「だといいっすね!」

「なかにはあのカレンって奴の言うことを信じてる馬鹿がいるらしいからな、お前も気を付けろよ。」

「せらさん。ありがとうございます。」

「ふん。」

「やっぱりせらは優しいっすね!」

「…たまたまだ。」


楽しそうに話してる菜緒さんと瀬羅さんを置いて、私は探索を続けた。

……………………………………………………………………


倉庫に着くと里紗さんが物を漁っていた。


「りささんか。おはようございます。」

「しずパイセンおは〜!先輩なんだから敬語いらないって〜!」

「癖で付けてしまうんだ。気にしないでくれ。」

「りょ〜!」

「ところで、りさは何をしてたんだ?」

「あーしは物品漁りしてた!なんか面白いものないかな〜って!」

「そうか。じゃあ倉庫の探索はりさに任せていいか?」

「あーしにまかせろ〜!」

「ありがとう。」


そう言って私は倉庫を後にした。

……………………………………………………………………


気がつくと時刻は12時前になっていた。


「そろそろ教室に向かうか。」


沙奈枝さんとの約束を思い出して教室に向かった。

……………………………………………………………………


教室に着くと、沙奈枝、鳴、里紗、セルス、鈴、江南、心、峰、エルナ、菜七子、菜緒、瀬羅の12人が座って話していた。


「しずさん。来てくれてありがとうございます。」


沙奈枝さんに話しかけられ、それと同時に教室に居た全員がこっちを見る。


「しずちゃん遅いよ〜!」

「さっきぶりっすね!」

「パイセン遅刻じゃーん」


鳴と菜緒と里紗に言われながら席に着く。

しばらくすると沙奈枝さんが話し始めた。


「みなさん。来てくれてありがとうございます。全員とまではいかなくてもたくさんの方が来てくれて嬉しいです。」


沙奈枝さんは話を進める。


「ここにいる人たちだけでいいです。みなさんで仲良く過ごしませんか?たしかに状況が分からなくて怖いですが友達が出来れば少しは楽しくなると思うんです。」

「あーしはさんせー!」

「私もいいよ!」

「いいですわよ。」


みんなが賛成の声を出す。


「みなさん。ありがとうございます。毎日12時から13時までの1時間、みなさん沢山話しましょうね。」


ワイワイガヤガヤ


教室に騒がしい雰囲気が漂う。楽しい。この場所に閉じ込められて初めてそんな風に思った。

……………………………………………………………………


楽しい時間はあっという間に過ぎ、時刻は1時を過ぎた。


「みなさん。今日はありがとうございました。とても楽しい時間でした。部屋に戻りましょうか。」


沙奈枝さんの声とともに教室からみんなが出ていく。みんな楽しそうだった。こんな幸せな時間が続けばいい、そう思っていた。

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