第10話 3回戦の始まりと終わり
「し、しずパイセン。今大丈夫ですか?」
「…もう少しだけ。」
一刻も早く謝りたい。静パイセンを裏切るために嘘をついたわけじゃないと、静パイセンに伝えたい。
「親友の死…か。体験したことないな。」
私には親友と呼べる人がいない。色んな人と、程々の距離を保って生きてきた。同級生とも、先輩とも、後輩とも、お父さん達とも…。
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中学1年生の頃だった。
「うわ、今月お金ピンチじゃん。」
お金が少なかった私は、友達の誘いからパパ活を始めた。
「私、このカバン欲しいな〜」
「よーし!じゃあパパが買ってあげよう!」
「ありがとうパパ!」
パパ活を続けて、嘘を重ねるうちに、本当の自分がどこかに行ってしまうような感覚を覚えていた…。
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でもそんな時、デスゲームに参加させられて、静パイセンに出会って…
『…パイセン、もしかしてあーしの心配してくれてるの?』
「当たり前だろ。先輩なんだから。」
その言葉を聴いて、私は自分を見つけられた気がした。静パイセンの後輩として、心の支えとして、生きていきたいと、そう思えるようになった。
だからこそ、嘘をついてしまったことを今すぐに
「謝りたいんだ。」
「それで、りさ。なんか用か?」
「うん。その…」
なかなか声が出ない。でも、今すぐ謝らないと、静パイセンに伝えないと。
「能力のこと、嘘ついててごめんなさい。」
「そのことか。なんか事情があったんでしょ?りさが無意味に嘘をつくわけが無いし。」
パイセンのこういう所、苦手だ。でも、自分を肯定されているようで、嬉しい。
私は周りに聞かれないように、メッセージで静パイセンに送る。
〖実は、あーしの秘密はパパ活で…。嘘をつきすぎたせいで、本当の自分が分からなくなっちゃって、気づいたら嘘をつくようになっちゃったんです。〗
〖でも、静パイセンのおかげで、あーしは自分を見つけることが出来ました。ありがとうございます。〗
静パイセンはケータイに目を落としてしばらく経つとこちらを見て…
「こちらこそありがとう!」
と言ってくれた。やっぱり私は、静パイセンの為に生きよう。そう思えた。
数分後、レイナは話し始めた。
「いいものを見せてもらいました。しずさんは、極悪非道な割に、人間味がある一面もあるんですね。」
「…」
「私から提案なんですが、感動したので、3回戦に進めてあげてもいいですよ?」
「3回戦に進むことでの私たちのメリットは?」
静パイセンはレイナに聞く。
「そうですねぇ、感動の再会とか、ですかね。」
「…そうか。みんなはどうしたい?」
ここにいる人たちは、みんな過去に何か起こした人たちだ。失っている人がいてもおかしくない。みんなは3回戦に進むことを了承した。
「それでは、3回戦に進むということで、私はこれで失礼しますね。」
そう言うとレイナは目の前から消え、中学生のような子が現れた。
「こんにちは!私の名前は河野 高音!中学1年生だよ!」
この子供は誰だろう。そんなことを思っていると、高音は言った。
「あれ?さなえちゃんはもう死んじゃったの?」
沙奈枝。私たちが知っている沙奈枝なんて1人しか居ない。
〖古家 沙奈枝〗
「つまり貴方は、中学1年生の頃にさなえさんに殺された人なんですね。」
瑠衣子は言う。
「そうだよ!そしてまだまだいるよ!」
高音がそう言うと沢山の人物が映し出された。喜ぶ者、苦しむ者、悲しむ者、無関心な者。色々な反応があった。
「喋れるのは私だけだから、私が全員紹介するね!」
高音は1人ずつ紹介していく。
「まずはこの子!赤井こと風真赤菜さん!」
心パイセンは動揺を隠せていなかった。おそらく、心パイセンに関係している人だ。
「そして次!芝谷 向日葵ちゃん!ゆりさんの友達だった人だね〜。」
百合パイセンは動揺することなく笑っていた。
その後も人物紹介は続き、最後の一人になった。
「最後の1人!この子は奈瑠川 柚!しずさんの妹だね〜。」
静パイセンは動揺することなく、ただただ謝っていた。
「この後も沢山来る予定だから楽しみにしててね!」
高音がそう言うと、みんなのケータイが鳴った。
新しい能力が配られたらしい。
私の画面に書かれていたのは
〖殺人犯〗
ついに来ちゃったか…。どうしようか。そんなことを考えていた時…
「アハハハハハハハハ!遂に来た!遂に!」
百合パイセンはいきなり大声で叫び出すと、手に持っていたナイフで…
自分のお腹を…刺した。
それと同時に高音は言った。それは、信じられない以前に、突然起きたせいで理解が追いつかない言葉だった。
「3回戦しゅーりょーです!」




