第7話前編 あの頃の日々
隣の部屋から騒いでいる声が聞こえる。
「もしかして…、遂にしずちゃんが目覚めた!?」
私はるんるんで静ちゃんの部屋に向かう。
コンコン
「しずちゃーん?私だよ!なるだよ!」
「あぁ。お前か。今開ける。」
待っていた。この冷たい態度。上からの発言。これが私が大好きな静ちゃんだ!
「やっと目覚めたんだね!」
「長い眠りについてた気分だ。」
「じゃあ、あの2人も呼んでくるね!」
「任せた。」
もちろん記憶を失っていた頃の静ちゃんも好きだ。でも、なんの躊躇もなく人を殺す本当の静ちゃんの方が大好きだ。
遠藤姉妹を呼びに自習室に入る。
「やーやー、2人とも!」
「なに?君のことはあんまり好きじゃないんだけど?」
「まあまあ。そんな事言わないの!」
「実はさー!しずちゃんが目覚めたんだよね!」
「やっとですか…。」
「ふふふ。嬉しいわね。」
「だから呼んでくるように言われたんだよね。」
「じゃあみねちゃん、行きましょうか。」
「はい。お姉様。」
私たちは3人で静ちゃんの個室に向かう。やっと、あのころの楽しい日々が戻ってくる。
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「それじゃあ、行ってきます!」
元気に家から出て学校に向かう。今日は小学校の入学式。友達出来るといいな!
家から出ると隣の家から女の子がでてきた。見送りのお母さんは居ないらしい。その代わりに、妹が見送っていた。
「こんにちは!君も入学生?友達になろうよ!」
「…。俺を満足させられたらな。」
「わかった!」
それからの日々は地獄だった。
「最近七音教とか言うのが調子乗ってるらしくてな。一緒に壊滅させに行くぞ。」
「ほ、ほんとにそんなことするの?」
「文句があるのか?」
「ない…けど」
「早く行くぞ。」
あの日から私は、何人殺したのだろう。七音教を壊滅させて、静ちゃんの幼稚園の頃の友達を殺して、数えてたらキリがない。
「助けてください…。私は、七音様を信仰しているだけなんです。」
「そんなこと言われても…、しずちゃんの命令だから。」
後ろから足音が聞こえてくる。
「何てこずってるの?」
静ちゃんだ。
「ごめんねしずちゃん!このレイナって人が命乞いをしてきて…」
その場に尋常じゃないほどの緊張が流れる。
「は?なんだよ、お前は?」
「ほんとにごめんねしずちゃん!私、まだ人の心が残ってるみたいで…」
「ふーん。後で教育してやるからな。」
「…はい。」
「俺が始末するから戻ってろ。」
「…うん。」
私はその場を離れる。後ろから会話が聞こえてくる。
「本当によろしくお願いします。許してください!」
「黙れよ。」
「いやああ゛あ゛ぁ…」
おそらく、レイナって人は死んだ。静ちゃんの手によって。
静ちゃんの家で静ちゃんの帰りを待つ。
ガチャッ
帰ってきた。
「おかえり!しずちゃん!」
「…早くあの部屋に行け。」
私は言われるがままベッドだけが置いてある部屋に向かう。
「早く服を脱げ。」
「…分かりました。」
いつものように身体中にムチを打たれ、舐められ、切り傷を入れられる。嫌なのに、痛いのに、興奮してしまう自分が嫌だった。この現状を変えたいと思った、思ってしまった…
「もう…いやだ。」
「…」
「私にはもう無理。明日からもう来ないね。」
「…そうか。」
案外軽く言うことが出来た。私は服を着て、靴を履いて、家を出…
気がつくとベッドに寝転んでいた。目の前には血まみれの静ちゃん。その脇には…私が死んでいた。
「なんで、私があそこで死んでるの…」
「…、まだ適応しきってないのか。説明してやるよ。」
静ちゃんは先程の出来事を話し始める。
「もう出来ないとか、ふざけたこと言うから殺しただけだ。でもな、なるの記憶は欲しかったんだ。だから妹のお前の脳みそに、なるの俺に関する記憶を移した。それだけだ。」
「つまり、私はもう死んじゃったんだね。」
「でも、その調子だと妹の記憶はなくなりそうだしな。お前が今日からその体でなるとして生きていけ。」
「でも…」
「うるせぇな。」
私の唇に静ちゃんの唇が触れる。なんでだろう。さっきまで嫌だったのに、今ではもう…
「しずちゃん!大好きだよ!」
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今思えば、最初に会った時から静ちゃんが大好きだったんだ。
「おかえり!しずちゃん!」
「やっと起きましたか…、おかえりなさい。」
「しーちゃん!おかえり!」
「ああ…。ただいま。」
これからまた、この4人での楽しい日々が始まると思うとワクワクが止まらない。私たちはさっそく、レイナの居る個室に向かった。




