第6話後編 目覚め
「ねぇ、なる。私のために死んでよ。」
「やめてよしずちゃん!仲間じゃん!」
「ふふ。そうだね。だから殺すんだよ。」
「そんな…い、いや…」
グサッ
私は鳴を刺した。私は今どんな顔をしてるんだろう。喜んでるのかな。悲しんでるのかな。
…ふと我に返る。私はなんてことをしてしまったんだ。
「なる!なる!返事してよ!なる!」
「…」
返事なんか返ってくるわけもなかった。私は…私は…
……………………………………………………………………
「なる!」
布団から飛び起きる。夢…だったのか?やけにリアルだった。手には包丁を刺した感覚が残っている。気持ち悪い。
「なんなんだあのリアルな夢は…」
ふと時計を見ると時刻は午前6時。朝になってしまっていた。
「顔洗ったらりさに電話しようかな…。誰かと一緒にいたい。やえこさん…また私を守りに来てよ…」
叶うはずもない願いを唱えながら顔を洗い、歯磨きをする。
「電話するにしても、りさ起きてるかな。」
そんな心配事を考えながらケータイで通話をかける。
プルルルルルル
プルルルルル
『もしもし?しずパイセン朝早いね!』
「ごめんね、こんなに朝早く…」
『とーした?なんか暗いじゃん』
「昨日から、嫌なことがあったり、変な夢を見たりしてさ…。もう精神がボロボロで…」
『パイセン…。わかった!ちょっと待ってて!』
「え?」
電話が切れてしまった。里紗はどうするつもりなんだろう。
コンコン
個室のドアが叩かれる音がする。
「しずパイセン?あーしだよ!」
里紗が来たらしい。私はドアを開けて里紗を中に入れる。すると急に頭を撫でられた。
「パイセンは疲れてるんだよ。ちゃんと休まないと」
「う、うん…」
妙に落ち着く雰囲気だった。里紗の柔らかい綺麗な手が私の頭を前後する。とても心地よかった。
「うう…りさ。ありがとう。」
自然と涙が溢れてきてしまった。
「もうパイセン泣いちゃって。あーしの胸で泣いていいからね。」
「りさ…ありがとう…」
数十分後、急に我に返った。
「ご、ごめんりさ。」
「全然いいよ。私はしずパイセンのママだからね。」
「え?なんでそうなるの?」
「だってパイセン。私の胸で泣きながらママ大好き、頭よしよししてって言ってたよ。」
「え?ごめん…///」
「全然いいよ。人を宥めるのは慣れてるからね。じゃあ朝ごはん食べてくるからまた後でね!」
「うん。ありがとう。」
「うぃーっす」
里紗が部屋を出ていく。里紗には変なところを見せちゃったな。先輩なのに情けない。でもおかげでかなり心が落ち着いた…そう思ってたのに…余計なことを考えてしまった。
「ママ…か。私のママって…私の…」
また、頭痛がしてきた。考えなきゃ良かったと後悔しても遅い。
「な、なんだこれ…」
私の頭の中に知らない記憶が流れてくる。なのに妙な懐かしさを感じる。なんなんだこの記憶は。
「七音教…か。要らないだろ。」
うぅ…
「なあ、なる。俺らいつも一緒だもんな。」
うぅぅ…
「遠藤姉妹か。いいぜ、契約結ぼうじゃないか。」
うぅぅぅ…
「なあ?カレン。これが俺の景色だよ。でもお前はこれが最初で最後だからな。」
ううぅぅぅ…
「脆いなぁ、お前ら全員。」
うあ゛あ゛あぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛
目が覚めた。俺はいつから眠ってたんだろうか。いや、そんなのどうでもいい。
今はただ、心地よい。




