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第0話 始まり

「……ちゃん!しずちゃん!」


誰かに呼ばれて目を開ける。


「ここは…教室?」


ズキズキと痛む頭を抑えながら辺りを見回す。

私は教室のような場所にいた。周りには同じ状況だと思われる女の子が19人もいた。


「どこなんだよここは!」

「鍵が閉まってるな」

「私、家に帰れるのかな…」

「早くここから出してよ!」


様々な声が飛び交っている。


「しずちゃん!大丈夫?」


そう声をかけてくるのは隣の席にいる神宮寺(ジングウジ) (ナル)。私の友達だ。


「状況は分からないけど大丈夫だよ。なるこそ大丈夫?」

「うん!ここ、どこなんだろうね?」


鳴に聞かれて考えてみる。そういえば今日は……

………………………………………………………………………………………


私の名前は奈瑠川(ナルカワ) (シズ)。世界的に有名な私立天ノ下女子高校に通っているどこにでもいる高校2年生だ。今日は楽しみにしていた学園祭だ。友達の鳴と一緒に出店を回るつもりだ……

………………………………………………………………………………………


そうだ、私は鳴と一緒に学園祭を楽しんでいた。


「でも、なんでこんなところに閉じ込められてるんだ?」

「私にも分からないの…」


しばらくの間無言が続いた。とは言っても周りはとてもうるさい。


コンコン…


突如、外から教室のドアを叩く音が聞こえた。


「誰かいるの?助けて!」


声に応えるかのように目を奪われるような美人が入ってきた。


「みなさん!席に着いてくださいね。」


透き通るような声でその場を収める。さっきまで騒がしかった教室も彼女の一声で静まり返る。


「あなたは誰なんですか?」


1番前に座っている女の子が質問をした。


「私の名前はカレン。このゲームの進行役です。」


ゲーム?一体どういうことだ。ここはどこなんだ。あなたは何者なんだ。様々な質問が頭に浮かぶが、ぐっと堪える。


「みなさんにはこれからデスゲームをしてもらいます。」

「は?」

「えっ…」

「デスゲーム?」


静かだった教室が一気に騒がしくなる。


「お黙りなさい。」


カレンの一声で再び教室が静まり返った。


「みなさんには、学校にバレてしまったら退学になってしまうような秘密が1つあります。」


カレンがそう言うと動揺する者や落ち着いてる者、泣いている者全員がカレンの方を向いた。


「この秘密を賭けて勝負をしてもらいます。勝った者だけを外の世界に解放してあげます。」

「勝負ってなんだよ!」


体育会系のような女の子がカレンに掴みかかる。


「勝負?やってられるか!早くここから出せ!」

「…」


次の瞬間、体育会系のような女の子はその場に倒れた。周りのみんなが動揺する。


「眠らせただけですから大丈夫ですよ。」


カレンが言った。


「この子は放っておいてデスゲームの説明をしますね。みなさんには天ノ下女子高にバレてはいけない秘密があります。ゲームに勝つには自分以外3人の秘密を集めて、みなさんが所持しているケータイで私に連絡をしてください。」


私は我慢できずに質問をした。


「どうやって秘密を集めればいいんですか?」

「いい質問ですね。」


カレンが応える。


「簡単な話です、殺してください。」

「!?」

「え…」

「う、嘘だよな…?」


教室にまた様々な声が響き渡る。


「誰かを殺すと、その殺した人の秘密があなたのケータイに送られます。なので合計3人殺してください。ちなみに、秘密を口に出そうとするとみなさんの首に着いている首輪が締まります。決して口にしないように。」


首輪だと?自分の首元を触ってみると冷たい金属のような感触があった。


「殺人犯を追放することも可能です。殺人が起きたあと、殺人を起こした人以外の人物が死体を発見すると学校全体に放送が流れます。放送が流れたあとはみなさんで話し合って追放者を出すか、出さないかを決めてもらいます。追放者を出すことが確定したらその人は追放されます。」

「つまり、死体の第1発見者は確実に白ってこと?」


ギャルのような子が聞いた。


「そうです。それも判断材料にしてください。また、1人殺したあとは1日の間誰も殺せなくなります。…説明は以上です。質問などがあれば受け付けますよ。」


なるほど、ルールは大体把握した。でも私は人なんか殺せない。そう思っていると、


「ゲームの勝者がでなかったらどうするんですか?」


鳴が質問をした。


「最後の一人になった方をゲームの勝者とします。」

「…………もう質問はありませんか?」


誰も手をあげない。おそらくみんな私と同じようにこの状況を理解できていないんだ。聞きたくても聞けない。


「じゃあ、みなさんはそれぞれ個室に行ってください。ではまた明日。」


そう言うとカレンは教室を出ていった。


「なる。ほんとにこんな事しないといけないのかな?」

「しずちゃん大丈夫だよ!何もしなければそのうち終わるって!」

「そうかな…」


やけに余裕そうな鳴を見て余計に不安になる。本当に殺し合わないといけないのか。生きて帰れるのか。分からないことだらけの中、時間だけが過ぎていった。

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