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大魔女とチビ魔女

5000ユニーク、45000PV突破ありがとう記念。第一弾。

ってか本当は1万ユニークとかでやるほうがいいんだろうけど、嬉しいんだからいいんだよスペシャル。


レイリッシュとチビの頃のブランマージュ

十歳の頃だと思う。

あたしがその魔女に引き合わされたのは。


だと思うっていうのは、いちいち産まれた日なんて祝ってられる程裕福な家じゃなかったってコトが理由。物凄く大雑把に、あんたは寒い時期に産まれたっけね、なんてちょっとボケの入ったばあちゃんが言っていた。

 ばあちゃんの話だから、それだってあやしいんだけどね。


エリィフィアに「あんたいつ産まれたんだい?」といわれた時、あたしはやっぱり大雑把に「寒い頃」と応えた。

 やがてエリィフィアはこう言った。


「あんたが私の娘になったのは温かい風が吹く季節。

白い花ソルシェの月。その七日目のことだ。だからあんたはこれからその日に産まれたってことで一つづつ年を刻むといい」

―――その意味が判らなくて、でも嬉しいってことだけは判った。


エリィフィアはあたしの姉で師匠で、そして母親なのだ。


「じゃあ、レイリッシュ様はあたしのばぁちゃんだね」


そう言ったのは、黒髪の大魔女と初対面をすませたあとだ。

あたしは物凄く驚いていた。だってレイリッシュときたら今までみた誰よりも綺麗だった。

艶やかな黒髪も、口元に塗られた真っ赤な口紅も、全てが全て綺麗だった。

 そのレイリッシュを示して、エリィフィアは言ったのだ。

「この方は私の師匠。レイリッシュだ」

って。


師匠の師匠だから大師匠。

お母さんのお母さんならばばぁちゃん。


あたしだってそれくらいの常識を知っているのだ。


レイリッシュはにっこりと微笑した。

物凄く綺麗な微笑みだった。うっとりするほど綺麗。

その手がおもむろにあたしの頬をぐにりとひっぱり。

「口は災いを呼ぶのよ、末っ子」

「ひひゃゃゃ」

「あたくしのどこをみてそんな単語がでるのかしら? あんまり可愛くないと苛めてあげるわよ?」

「レイリッシュ、辞めて下さい。子供のいうことではありませんか」

「あんたの教育が悪いのではないの? エリィフィア」


レイリッシュはそういうと、エリィフィアの頬までつねりあげた。


あたしはびっくりした。

慌てて両手を伸ばしてレイリッシュの腕に縋る。

「エリィフィアを苛めないで!」

「あら、駄目かしら?」

勿論駄目だ。

「ふふふ、師匠が好き?」

「好きだよ。エリィフィアはおかあちゃんだもの」


本当のお母さんはお別れしなければならなかった。

一人で寂しくて何度も泣いた。

そのたび、エリィフィアはあたしを抱いて寝てくれた。


―――魔女はどうしたって修行しなければいけないんだ。親元にいて親を傷つけてしまった魔女は一杯いる。

仕方の無いことだけれど、あんたは親の前でちゃんと笑えたね、あんたは偉いよ。私はあんたを誇りに思う。

だから、あんたは立派な魔女におなり。


「可愛い末のブランマージュ。

あなたが無事に修行を終えたらあたくしの大陸へいらっしいな。

未熟なあなたがいても平気なくらい平和な場所を用意してまっててあげるわ」


「エリィフィアの大陸は駄目なの?」

「魔女は家族だけれど、直接の師匠と弟子とは同じ大陸にいてはいけないの。

そういう約定―――これは人間との間に定められている約定だから。だからあなたは私の大陸においでなさいな」


さんざひっぱった頬を優しく撫でて、レイリッシュはすっと体を起こした。

「それと、ブランマージュ」

「なに?」

「私のことはレイリッシュとお呼びなさい。

様なんてつけなくてよくてよ。魔女は家族なのだから―――」


その代わり、

「今度おばあちゃんなんて言ったら頬をつねるだけではすまなくてよ?」


レイリッシュの年齢は永遠の謎だ。


次はエイルとレイリッシュ。

最後の予定でロイズの小話の予定です。

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