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web拍手お礼小話つめつめ(10)

「いい加減、離れろっ」

げしりと蹴倒し、後に残ったのは腰抜け状態のあたしというまさに無様な有様でした。

駄目だ、生理的にムリだ。

ギャンツというだけで力が入らなくなって身震いが酷い。

 そしてギャンツを蹴倒した白いオウム――今は十五歳程度の少年のような格好をしたルゥはへなへなになっているあたしの前で腕を組み、


「おまえはアホかーっ」


理不尽な怒鳴り声を発していた。

「好き勝手やらすな、バカチビ」

「お、おまえだろーっ」

 楽しんでいたのはおまえだっ。

「このバカ鳥っ」

「うっせー、阿呆チビ。つうかおまえの使い魔どうした? オレは帰るからな? エリィの家に帰るからな? くそっ、どうしてオレがおまえの家で、あの糞狼がエリィの家担当なんだよ。まったく意味判んねぇ。早く帰る。俺は帰る。帰るんだからなっ。おまえの使い魔はどこだっ」


たんたんっと足で床を叩きながら睨み付けてくる鳥――人間バージョンは苛々と辺りを見回した。

 久しぶりに会ったが、あたしは気付いてしまった。この鳥は人のことをチビだなんだというがちょっとまて。

「鳥」

「っせーっ、なんだ、ちび」

「……どう考えてもあたしのほうが背高いよ」

 

「誰が身長の話をしてんだよ! オレはおまえの使い魔の話をしてるんだろっ」


*なんだかんだで一人で残して帰れない兄貴分ルゥ……転移のできない蝙蝠が中央から戻るまでブラン家にお留守番。


***


「何でも拾ってくる癖どうにかして下さいっ」

 エリサは帰宅した主に思いっきり噛み付いた。

ロイズの肩には羽を持つへんな動物が乗っかっている。顔は獅子のように見える。尾はまるでトカゲのようだ。激しくなついているのかロイズの頭にすりすりと頭を寄せている。

「拾ったんじゃない」

げんなりとしながらロイズは廊下を歩き、足元にいるダスティの頭を軽く撫でた。ダスティは激しく威嚇しているが、肩の生き物はそ知らぬ顔だ。

「だったら――」

「もらったんだ」

「同じですよっ。うちにはもう犬も猫もいるんですからねっ」


エリサのギャンギャンという声に、肩にいたティラハールはぽんっとその姿を少女のそれにかえ、エリサは目をむいた。

「なっ、はぁっ?」

「……使い魔なんだ」

ロイズの言葉は歯切れが悪い。


「犯罪? え、えええ?」

「何が犯罪だ! オレは幼女趣味とかじゃないからなっ」


なんでこんなことに……


***


日本昔話し――ブラン太郎


あるところにおじいさんとおばあさんが……はいなくて、あるところに巡回中の警備隊隊長がおりました。隊長ロイズが川辺をあるいていると(略)


どんぶらこっこどんぶらこっこと流れてきた大きな桃をロイズは持ち帰りました。


「何すか?」

「違法投棄かもな。産業廃棄物かもしれん」

 眉間に皺を寄せて言う警備隊隊長のの言葉に、彼の部下は言いました。

「とりあえず冷やして食べますか?」

「駄目だ。これは一定期間の間保存してその後は処分する。また同じように流れてくるかもしれないしな。こんな大きなものを川に流すなんて非常識だ」


倉庫に放り込んでおけ。


淡々と処理する隊長に、「食べちゃえばいいのにー」と彼の部下は不満顔で倉庫へとソレを運んでいきました。


*ブラン太郎生まれない。


***


 あるところに……(もっと略)

引きこもりで根暗と噂のあるエイルですが、たまには川辺の散歩に出ていると川を流れてくる大きな桃と遭遇しました。


「……」

 大きいです。

エイルは静かに流れるそれを見つめました。


奇怪なものは大好きですが、相手は桃です。大きくても桃です。研究材料になるかをじっくりと考えましたが、どうみても桃。そして生憎とエイルは自分の腕力と体力に自信もありません。


 ぐぐぐっと更に考えたようでほんのちょっと眉間に皺がよりました。

どうやら持ち帰ることにしたようです。わざわざ使い魔(蛇形・ぬめぬめ)を呼び出し、持たせました。帰宅するまでの間町の人は阿鼻叫喚です。


 自分の研究室でそれを割ってみると中から玉のような……――(以下略)


阿鼻叫喚でした(ブランだけ)


*いくらブラン太郎でもエイルに育てられたくはないだろうなー

 


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