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web拍手お礼小話つめつめ(9)

ふらふらと尻尾が揺れている。

チビ魔女ブランのスカートの下、すらりと伸びた白い尻尾。耳同様、どうやら勝手に動いているようだ。

 それをロイズ・ロックは眺めながら思案している風だったが、おもむろにひょいっとつかんだ。

「みゃぁぁぁっ」

最近突飛な言動の中に何故かニャーが混じっているブラン。

「あ、痛かったか?」

「痛いとかじゃなくて! なに? いったい何?」


「いや、目の前をふらふらされたら普通つかむだろう?」

「掴まないわよ! ってか離せっ」

「なぁ? やっぱこれってどうなってんの?」

「引っ張るなっ」

「リボンつけたらかわいいんじゃないか?」

「はーなーせぇぇぇ」


***


「お風呂はいりたーい」

ことのはじまりはそんな台詞だった。

もちろん猫バージョンの時は毎日のように風呂に強制的に入れられている。だがやっぱりヒトガタバージョンでゆったりと入浴したい!

乙女としてっ。

 エイルはぎゃんぎゃん騒ぐあたしがうっとうしいのか、さっさと呼び鈴で家人を呼ぶと、あたしを「風呂に放り込んでおけ」と命じた。

まぁ、言い方は悪いけどあんたっていつもなんだかんだってやらせてくれるから好きよー。

なんて軽口を叩いて案内されたのは、二階の部屋だった。

「……もしもーし?」

 数名の人間がせっせとバスタブに水を張り、なんだか判らない魔道アイテムで湯に変換させていく。だが一番気になるのは、この浴室の隣――あたしが案内された部屋だ。

「なんでしょうか、魔女殿」

「……なんていうか、随分可愛い部屋ね?」

なにこれ、エイルの趣味?

待たされている間、お茶が出されたりなんかしてそれはいいのだけれど、寝椅子とか可愛らしい一人掛けの安楽椅子とか、床のラグとか……

「こちらは魔女殿の部屋です」

「……」


 なんでエイルの家の中にあたしの部屋があるのか、だれか説明してくれ。

をい?

 意味不明で怖いんだけど、をいぃ?


***


 白いオウムはうんざりとしていた。

「やぁ、おはよう」

「……」

さわやかな笑顔で声をかけてくるのは、ギャンツ・テイラー――最近何かとブランマージュの小さな家を訪れて掃除や壊れた椅子の修理などをしている男である。

「こんにちは」

「……」

ギャンツは上機嫌でオウムに話しかけてくる。

「ブランマージュ、愛してるよ」

「……」

「やっぱりこれは難しいかな。でも挨拶くらいは言えるんじゃないかな。おはよう、ブラン」

「……」

「お・は・よ・う、ほら、言ってごらん」

「……おはよう」

 オウムはうんざりとしながら応えた、すると、ギャンツは機嫌をよくしてうんうんっとうなずいた。

「おはよう、ブラン――ほら、言ってごらんよ」

「おはよう、ブラン」

「かしこいぞ。じゃあ次は、ギャンツ素敵だ」

「……」

「ちゃんと覚えて毎日ブランに言ってくれよ」


――オレはチビの使い魔じゃねぇし、言葉くらい喋れるんだよっ。超絶うぜっ。



ギャンツ・テイラー……おかしなところで敵を作る。


***


「あの、アン様」

「うっさいっ」

黒髪の女が膝をついて必死に(あるじ)を呼ぶのだが、その主ときたら苛々とした様子を隠すことなく、手の中のカードをチェックした。

 手札に同じ数字はない。しかし五枚中四枚のマークは同じだった。一枚を引き抜き、ペット用のコインを五枚追加する。

「一枚トレード」

「ほぅ、強気だな」

「おりても良いわよ?」

「我は二枚チェンジ。更に五枚」

 勝負に乗る白髪の男にニヤリと笑い、アンニーナは吐き出されたカードをぱしりと翻した。

「ロイヤルストレートフラッシュ、おまえは見事にバラバラのようだが?」

「いーかーさーまーよぉぉぉぉっ」

「アン様っ、アンニーナ様っ、帰りましょうっ」

「うるさい! この馬鹿に勝ち逃げされてたまるものですかっ。今度は麻雀!麻雀よっ。満願縛りっ、割れ目ありっ、安目であがったら殴るっ」

「メンツが足らぬだろう」

「シディっ、王宮官吏の一人でも引っ掛けといでっ」

「帰りましょうよーっ」


――……ファンタジーで麻雀は止めようよ麻雀は。

*ごめん、たまさ。実は麻雀はあまり判らないです。




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