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web拍手お礼小話つめつめ(6)

「アン! エイル食べちゃった?」

久方ぶりに訪れたブランマージュが尋ねた言葉に、アンニーナは悶絶した。

もう条件反射と言っていい。腹を抱えて寝椅子にへばりつき、ひーひーと肩を上下させる。

「あいつってば幼女趣味に走ったみたいなのよ!」

更にトドメをさされたアンニーナは息が止まりそうになり、ばたばたと寝椅子の縁を叩いた。

「こっ、こ……っ」

「こ?」

「殺す気かぁぁぁっ。ああっ、もぉっ、面白い! あんた面白いわっ」

眦から涙まで出てきてしまった。

喉の奥から「ひーひーっ」という音がもれ出てしまう。

「どっからそうでたのか知らないけど、ははははははっ、いや、うんっ、素晴らしいわ、ひーっっ、さすがあんたは悪い魔女ねっ」

笑い声が時々混じり、まったく意味が判らない。

「なにそれ、褒めてるの?」

「褒めてるわよー? もぉ、あたしも見習いたいわー。

いやもホント。あれも莫迦よね! あたしに乗り換えちゃえばいいのに」

「は? 何が?」

「いやいやいや。ま、わりと男のほうが純情なのよ。いやー、アレが純情? うわっ、もう死ぬっ」

苦しそうに悶えながら、アンニーナはがしりとブランマージュを抱きしめた。

「また遊びに来てねー」

「……なんかキモチワルイ」

「だってあんた面白いんだもん」

アンニーナは胃が痙攣するんじゃないかというほどひーひーいうのを止められなかった。


***


「結婚願望はあります!」

多少の酒が饒舌にさせるのか、ブランマージュは陽気に手をあげて宣言した。


「結婚願望があったのか?」

ロイズはちびちびと酒のグラスを舐める。

あまり強くはない。

「あるわよ!」

「どんな相手がいいんだ?」

さらりと言ったつもりだが声がちょっと上ずってます。

「年上! 年下は駄目よねぇ。三十とか上はいいかも」

「は?」

「無口で文句は言わないタイプ」

「……」

「それでもってあたしより強くて、家事ができて」

ぽんぽんと列挙される言葉、最後にこれは大事とブランマージュは指を突きつけた。

「年に一度くらいしか帰ってこない!」


「おまえ……本当は結婚願望ナイだろ?」

「あるってば」


***


「あのね、噂で聞いたんだけどさ」

ブランマージュが真剣な調子で尋ねてくる。

「なんだ?」

「あんた、実は26だって?」

「もうすぐで27だけどな」

さらりと言われ、ブランマージュは物凄い嫌な顔をした。

「三十過ぎじゃないの!?」

「……いや、おまえ本当にオレの年齢をなんだと思っていたんだ?」

「三十五前後」

「そこまでふけてないからな!」


いやいやいや。

「だってあんた隊長でしょ? 腐っても」

「腐ってるってなんだ!」

「そんな若くて隊長って、普通ありえないわよ」

「着任した時は24だった」

「若っ、あんたそんなだったの!?」

「結局これは若さじゃなくて家の問題だろう。それに、うちの兄貴が王宮勤めだから」

さすがに自分で能力とは言えない。


「ああ、七光り!」

「……身もフタもない言い方するな」

「こんどぴっかり君って呼んでいい?」

「呼ぶな!」

「ぴっかり熊」

「……」

「語呂が悪いかぁ」


***


「はいはいはーい、ダーリンに質問が届いてます!」

「なんだ、うるさい」

「ダーリンの職業はなんですか? だって」

 熊は隊長ですが、確かにエイルってば引きこもりにしか見えないもんねー

「でもダーリンって魔道師よね? あれ、魔道師って職業?」

ただの引きこもり研究オタク?

と言った言葉が悪かったのか、ブランマージュは私室から追い出された。

「ってコトで、家人さんに質問! エイルは何の仕事してるんですか?」

がしりとつかまれて質問されたのはいつもの老家人。まだちゃんと健在です。

「旦那様は魔道アイテムの開発作成に携わっておいでです。旦那様の作成されるものは用途も素晴らしく出来も良いので高値で売れるようですよ。それに、あの……趣味にしていらっしゃる魔物の融合なども好事家の方には喜ばれておいででして、高値で売れております」

「――つまり、趣味と実益を兼ねてるのね」

「最近では魔女殿のように耳や尾のつく魔道アイテムが高値で売れています」

「は?」

「耳や尾の付くアイテムです」

「はぁぁぁぁ?」

――猫耳・猫尻尾がつくアイテム絶賛発売中です。


ってか、エイルってわりと猫耳好きだよね……



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