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web拍手お礼小話つめつめ(5)

目の前には三人の使い魔がいます。


一人は蝙蝠のシュオン。得意なことは家事全般。

もう一人は一角獣。得意なことはセクハラ。けれどその能力は計り知れません。

もう一人は大鷹。得意なことは追跡、ストーキング。


「あなたが落とした使い魔はどれですか?」


泉から現れた女神の言葉に、ブランマージュはにっこりと微笑みました。

「いや、落としてないから!」

「まぁ、謙虚な心が素晴らしい。この三体の使い魔を全て差し上げましょうっ」


「落としてないから!!!」


***


七人の小人たちが泣いていると、そこに魔道師が通りかかりました。

「なんだ?」

「ああ、魔道師様っ。魔女があやしい人から貰った林檎を食べて死んでしまったのですー」

「毒林檎だったに違いありませんー」

小人たちの訴えに魔道師は棺で横たわる魔女へと視線を向けました。


永遠の眠りについていたのは黒紫の豊かな巻き毛のそれはそれは美しい魔女でした。

「――」

魔道師は無言でスルーすることにしました。

「待てこらっ!」

永遠の眠りは終わったようです。

「生きてるじゃないか」

「ここはキスするところでしょう!」

「遺体に口付けるような趣味はない」

「おまえは絶対にブランだったらヤッてる! 断言できるわよっ」

「それがどうした」

……やるね。うん。やるね、キミ。


***


七人の小人たちが泣いていると、そこに警備隊隊長殿が通りました。

「どうした? 何があったんだ?」

「ああ、隊長殿。魔女があやしい人から貰った林檎を食べて死んでしまったのですー」

「きっと毒林檎に違いありませんー」

小人達の訴えに、隊長は棺で横たわる魔女へと視線を向けました。


「ブランっ」

棺の中には猫耳猫尻尾のブランマージュが寝ています。

慌てる隊長殿は目を見開き、横たえられたブランマージュの肩を引き起こし、叫びました。

「拾い食いとかしているからだっ。食い意地張りすぎだろう。

知らない人からモノを貰って食うなんて、おまえはうちの猫か!」

「うるさいわ!」

「ブラン!」

「耳元で叫ばないでよっ。耳大きいんだからっ。人間より性能いいのよっ」

耳を伏せてぎゃんぎゃんと訴えてくる魔女を抱きしめ、隊長殿は大きく息をつきました。

「それに、これは白雪姫のパロディなんだから、棺の姫君はキスで起こすもんでしょうが」

呆れたように言う魔女に、隊長殿は瞳を瞬いて提案してみました。

「じゃ、じゃあもう一度?」

「……却下」


***


「マスターどこいくんですかー」

猫耳猫尻尾のあかずきんがバスケットの中にパンとぶどう酒を入れて歩いていると、にこやかな狼が現れました。

「レイリッシュのとこ」

「ぼくとあそびましょー」

「やだ」

「じゃ、じゃあ、ぼくも一緒に行っていいですかー?」

「好きにしなさいよ」

てくてくと歩いていくあかずきんの後を、狼はぶんぶん尻尾を振って歩いて行きました。

「もぉっ、じゃれつかないっ」

「へへへ、マスター大好きですっ」

「重いったらっ」


あかずきんの背中に張り付いてにまにましている狼を――冷ややかな顔した狩人が狙っています。

狼っ、気をつけろっっ!!

 

***


「さぁ、かわいそうなシンデレラはここね!」

猫耳魔女は舞踏会に行くことができないシンデレラの部屋を訪れました。

屋敷の屋根裏に追いやられたかわいそうなシンデレラは――


「ヒギャアウゥゥゥっ」


愉しそうに魔獣の合成に勤しんでいました。

屋根裏部屋はさながら悪魔召喚の儀式部屋のようです。


「えっと……シンデレラ、今夜は舞踏会よ! このあたしがとっておきの魔法で」

「行かない」

魔道師はきっぱり拒絶。

「舞踏会に――」

「いかない」

「……舞踏会に出れば王子様と幸せにっ」

自分で言っててそりゃないなーと魔女は思いましたが仕方がありません。魔道師は眇めた眼差しと口元に刻んだ笑みで魔女に近づくと、魔女の頤に手を掛けました。

「おまえでいい」

「それはどーでしょーかー、シンデレラはですねぇ、王子さまと――」

耳がぺたりと倒れます。

「シンデレラは魔女と幸せになりましためでたしめでたし」

棒読みやめてーっっっ。


***


「アンニーナ、ワイン届けに来たわよ?」

赤ずきんちゃんがバスケットを持ってアンニーナの自宅を訪れると、アンニーナはいませんでした。

そのかわり、魔道師がふんぞり返ってます。

「………」

赤ずきんはじっと魔道師を見つめて言いました。

「アン食べちゃった?」

「おまえ、まったく別の意味で言っただろう?」


赤ずきん=ぶらん

狼さん=エイル

おばあちゃん=アン(なんか殺されそう)

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